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生まれたときの自分にタイムスリップ!

東京都港区立芝浦小学校 主任教諭 八木 美香

2年生の最後の単元は、小学校入学からの2年間の集大成として、自分の成長を振り返る単元。

学習指導要領 生活 内容(9)を主とする、この単元は、子どもの成長した姿がたくさん見られるので、担任としても力が入ります。

その導入としての実践「生まれたときの自分にタイムスリップ!」では、印象的な活動を展開させることで、子ども一人ひとりが、自分の成長を振り返るという視点をもてるようにしたいと考えました。

まずは、自分の生まれたときの大きさと重さを調べてくる活動から開始。

イラスト作成 八木先生

まだ算数で「重さ」についての学習はしていないものの、1000以上の数は学習済みなので、重さ比べができます。

現在、体が大きい人が、生まれたときから大きいとは限らないことに気付く子どももいます。

ただのくらべっこだけでは、実感を伴った活動にはならないため、ペットボトルの中に水を入れて、実際に、自分が生まれたときの重さをつくる活動に取り組みました。

本学級では、全員が出生体重2000g以上だったので、ペットボトルを2本用意して、1本目には1900gの水を入れておき、2本目の水を出し入れして調節しながら、自分が生まれたときの重さをつくりました。


班の仲間と協力しながらつくり、布でくるんで記念撮影。

一人分ずつつくっていくことで、でき上がるたびに「できた!できた!」と、みんなで喜び合う姿が見られます。


子どもたちが出生体重と同じ重さのペットボトルを抱いている姿は、まるで、新生児に対面した親のようです。

担任が写真を撮りながら「あら、お生まれになったの?お名前は?」などと、話しかけているうちに、子どもどうしで話し始めて、こんな会話が聞こえてきました。

「あら、お名前は?」「〇〇です。」「まあ、良いお名前。」「優しい子になってほしいから、〇〇にしました。」「優しい子ね。あら、良いお顔。だっこさせて。」「どうぞ。」「元気な赤ちゃんだこと。」「うちにも□□っていう子がいるんですよ。大きくなったら、遊んでね。」「あら、ありがとうございます。」

子どもたちに聞いてみると「赤ちゃんができたら、『近所のおばちゃんごっこ』するんだよ。」と教えてくれて、こんな発想が出てくるのかとびっくりしました。

『近所のおばちゃんごっこ』には、子どもへの親の喜びや願いがつまっていました。

この後、「ぼくの名前の意味、ちゃんと聞いてこよう。」というつぶやきもありました。

さらに、2人がかりで、お腹にタオルを巻き付けて、『産む前のお母さんごっこ』も始まりました。

「これは、重い。これで、お買い物、できないよ。」

「どうやって荷物も積んだ?」

「靴も履けないよ。届かないー。」

「うちは、3人兄弟だから、お母さん、3回もこんな重い思いしたんだぁ。」


一連の活動後に、振り返りの話し合いをしました。

学習課題がたくさん生まれる活動になりました。

※配慮すること

「家族単元」や「成長単元」となる今回の単元については、ざまざまな家庭があり、配慮が必要です。

実践例として述べた今回の活動では、まず最初に、学級の子どもたち全員が、『母子手帳』等で生まれたときの大きさについて調べることが可能であるかを確認しました。

たとえ、調べることが可能な状況にあっても、子どもたちへの言葉かけには十分な配慮が肝心です。

挿し絵のセリフで示した通り、「調べてこよう。」「聞いてこよう。」というところに目が向くようにし、「誰」に聞いてくるかという点に注目が集まらないような配慮をして、いつ、どのような場合にでも十分注意を払いたいところです。

つづく

プロフィール

さとえ学園小学校 やまなかせんせい プロフィール画像

東京都港区立芝浦小学校

主任教諭 八木 美香

 


なぜ、小学校の先生に?

元々はピアノの勉強をしていました。子どもたちと歌ったり、踊ったりすることが大好き。体を動かすことが大好き。お出かけすることが大好き。工作することも大好き。子ども一人ひとりの「楽しい♪」の表情が何より大好き。

my belief

「楽しい♪」の中に学びあり。