
東京都港区立芝浦小学校
主任教諭 八木美香
今回は、生活科の話題からは離れて、職員室での一場面をお届けします。
私たちの学校では、様々な教育活動において「子ども一人ひとりが主体的に考え、友だちと対話しながらたくさんの情報を得て、その中から自分なりの考えを再構築していく」という理想的な子どもの姿を目指して取り組んでいるところです。
さて、「主体的に」「対話しながら」「再構築」が大切なのは、子どもたちだけではありません。
今回の記事では、「職員室内での教員どうしの高め合いは、まさにそれに似たり!」ということを取り上げようと思います。
一人ひとりが『様々』の中で
職員室内の教員は、世代も様々で、家庭の状況もそれぞれ違って、様々な働き方、様々な得意分野があり、子どもの見方も様々で…と、一人ひとりの『様々』が無限にあります。
そのような状況の中で、「同学年内は同質の教育を提供していくこと」が求められているのですが、誰かが一方的に「こうやります」と情報を伝え、同じことを行うばかりでは、教員がもつ様々な特性を生かしているとは言いきれません。
どの世代の教員でも、自分の得意分野やこだわりの単元について語り、それを聞いて、また別の情報が加わり、さらに自分にはなかった視点を知り、自身の学級の実態にあわせて自分なりの実践方法を考える…ということが実現することが望ましいですよね。
今回は、着々とそんな環境が実現しはじめている私の勤務校(学年)での、いくつかの事例を記します。
<事例1>
3学期の準備の一つとして、子どもが考えてつくる『目標』について考えました。

A「こんなシートをつくってきました」
B「おお。見せてください!」
皆「良いですねぇ」
C「私はこんな作戦を考えました!」
皆「え?どんなの?」
C「目標を考えたら、教室に掲示するだけでなく、家にも同じものを貼って、保護者にも同じ目標を目指して応援してもらう体制をとるのです」
B「なるほど。同じことを目指していて、学校でもお家でもブレずに褒めてもらったり、励ましてもらったりすると、効果ありますね」
C「そうです。まさに、“家庭との連携”です」
B「そうしたら、A先生のシートが使えますよ!」
A「でも、これは『係活動でがんばるところ』というコーナーがあるから、係活動については家の人にとってピンときませんよ」
皆「そうかぁ…」
C「そうなんです。家でも学校でも共通するような表現にしないと、という難しいところがあります。どちらでも活用できるように、目標づくりの時には、子ども一人ひとりと丁寧にやりとりしながらつくっていく必要があります」
B「なるほど。C先生はどうやってやるつもりなのですか」
C「下書きとしてやり始めてます。見にいらしてください」
皆「はい!!」
A「見せていただきながら、掲示用のシートは私がつくりますね」
皆「ありがとうございます!!」

<事例2>
図工の『紙版画』について、材料や道具の準備だけでなく、実際の進め方について考えました。
A「次の単元の『紙版画』、どうやって進めていくんですか?」
皆「どうする?どうやるの?」
B「わぁ。教科書や紙版画キットに載っている作品写真、手が込んでいて難しそうだぁ」
しばらくして…
C「見に来てください。やってみました」
皆「え?さっそく??すごい!」
B「これは半紙ですか?」
C「そうです。8時間扱いなので、まずは、練習として半紙をつかって、紙の重なり具合から学んでいってはどうでしょうか」
A「なるほど。簡単な形を重ねていくんですね」
B「のりでしっかり貼り付けて版をつくるということも、しっかり学べますね」
その後、先行して単元をスタートさせてくださったC先生から、学習の進め方メモが発行されました。

事例の1も2も、主体的に教材研究を進め、情報提供しながら対話的に教材研究を深めている姿の教員たちでした。
次回は、他の事例について書く予定です。
つづく

東京都港区立芝浦小学校
主任教諭 八木美香
なぜ、小学校の先生に?
元々はピアノの勉強をしていました。子どもたちと歌ったり、踊ったりすることが大好き。体を動かすことが大好き。お出かけすることが大好き。工作することも大好き。子ども一人ひとりの「楽しい♪」の表情が何より大好き。
my belief
「楽しい♪」の中に学びあり。