兵庫県たつの市立新宮小学校
主幹教諭 石堂裕
「もっともっと高くたこをあげたい!」と奮闘する子どもたち。前回に引き続き、挑戦の様子をお伝えします。
写真1は、子どもたち5チームの和だこづくりの軌跡です。
まずつくってみて、赤のふせんに飛ばなかった理由(問題点)を書き出します(赤枠)。
2回目の挑戦からは、それをクリアするために本や図鑑で調べたことを緑のふせん(緑枠)、よかったところも書き出した青のふせん(青枠)が追加されました。
3回目の挑戦でも3種類のふせんを使った調査と振り返りが継続され、それに伴って、どのグループも和だこらしくなってきました。
さて、3回目になると少しずつあがるようになってきたグループが出始めました(写真2)。
そうなると、みんなの心の中では「もっと高くあがるようにしたい」という気持ちが一段と強くなります。
そこで、クラス全体での作戦会議を設けました。このタイミングでの会議こそがどのグループも取り残さないポイントです。
子どもたちがつくったこの時間の問いは、「なぜ、もっと高くあがらないのかな」。
教師側の目的は、各グループが個々に試行錯誤してきたことを振り返り、よいところを共有したり新たな事柄に気付いたりすることです。
では、作戦会議の様子を紹介します。
話し合う視点として用いたのは、前回の記事でも紹介した子どもたちが事前に予想した分類結果(「風の方向」、「たこのバランス」、「走ること」の3点)です(写真3)。
進める過程で、気付きが生まれるように、図1のようなシートを用いました。
特に「風の方向」を考える場合は、意見が分かれました。これを解決するために、送風機とミニの和だこ(縦15cm×横10cm程度)を用いた実験を取り入れました。
さらに、「たこのバランス」を話し合う過程では、「本に『糸目』のことが書いてあった」とのひとりの気付きを取り上げました。
ほとんどの子どもたちが理解できていないことから、みんなで確認した結果、「糸目って、たこのあがり具合を調整する糸なんだ」や「あっ、分数で勉強した1/3のところに糸をつけるといいんだ」といったつぶやきが聞こえてきました。
算数の学習がちょうど分数だったこともあり、みんなが納得できた様子でした。話し合いの様子を整理した板書が写真4です。
授業の最後に算数を意識できたことから、4回目の和だこづくりでは、ものさしを用いて、長さをきっちりと測る様子も見られました。
出来上がった和だこは、どのグループも高くあがりました。みんなは大喜びです。
試行錯誤が深い学びを生み出すことを実感した学習となりました。
つづく
プロフィール
兵庫県たつの市立新宮小学校
主幹教諭 石堂裕
なぜ、小学校の先生に?
身近な家族が教員だったため、小学生のころから「先生になる」と決めていました。小学校に決めたのは、教育実習での1年生との出会いです。授業の難しさを実感して、「もっと究めたい」と思ったことが、今も私自身を支えています。
my belief
「ピンチがチャンス!」
授業では、「ま(待つ)つ(つなげる)の(のせる)き(気付かせる)みと(認める)」