一人ひとりの行動を身につける機会に

兵庫県たつの市立新宮小学校

主幹教諭 石堂裕

さあ、2020年度の1年がスタートします。登校してくる子どもたちの表情には、新しい学年への期待があふれているはずです。

学級担任となった先生は、「新年度、どんなクラスづくりをしようかな」(2019年4月記事)を読んでくださるとうれしいです。

めざす子どもの姿やめざす学級づくりについて紹介しています。

さて、今年は、いつものような始まりができません。それは新型コロナウイルスの感染が進行しているからです。

そのため、学校の再開には、三つの条件(密閉・密集・密接)の重なりに留意した学級経営が求められます。

今回は特に、初日に気をつけたい二つを紹介したいと思います。

初日に気をつけたいこと①

一つは、写真1のような教室の環境です。

【写真1】密閉・密集・密接の重なりに留意した教室環境
【写真1】密閉・密集・密接の重なりに留意した教室環境

これは、新学年初日の子どもたちが教室に入る前の様子です。

子どもたち一人ひとりに配付すべき物がすべての机に同じように整然と置かれています。机の間隔も均等になっています。

ここには、これから出会う子どもたちへの

「みんな同じだよ」

「これからみんなでつくる教室は心が落ち着く場所だよ」

といったメッセージを込めています。

教室の換気も十分であることから、私がいつも心がけてきたことは、三つの条件(密閉・密集・密接)をクリアしていると言えるはずです。

初日に気をつけたいこと②

もう一つは、最初の学級会でのことです。

今年度の最初の学級会では、いつものような「どんな学級にしたいか」を話し合う前に、図1に示したポイントを提示し、みんなで考える時間をもつことが必要です。

【図1】ポイントを共有して考える時間をもつ
【図1】ポイントを共有して考える時間をもつ

それだけ、感染拡大を防止するには一人ひとりの行動が大切であることを意識させます。

また、おさえるべき五つのポイント

①体温をはかること

②手洗いをすること

③顔をさわらないこと

④マスクをすること

⑤風邪のような症状がでたら先生に伝えること

が定着しやすいように、『新型コロナにまけない た・ち・つ・て・と』(図2)を紹介するのもよいでしょう。

【図2】『新型コロナにまけない た・ち・つ・て・と』
【図2】『新型コロナにまけない た・ち・つ・て・と』

注意すべきは、説明だけに終わらないことです。特に手洗いは、実際に手洗い場に行って具体的に指導することが大切です。

この場合、全員が行くと三つの条件(密閉、密集、密接)をクリアできないことが予想されるため、分散させます。

その方が手洗いのしかたもチェックしやすいです。


ただし、教室に残る子どもたちには、例えば「新しい教科書ではどんなことを学習するかな」と、するべきことの指示を忘れないようにしましょう。

学びの推進には、図3に示すように、土台となる「学習習慣・学習規律」が重要です。

【図3】
【図3】

『新型コロナにまけない た・ち・つ・て・と』による活動は、この「学習習慣・学習規律」に位置付いています。

学校とは、授業を通して新たな知識を学ぶだけではなく、社会で生きる力を学ぶ場でもありますよね。

新型コロナウイルス感染の広がりを防ぐための一人ひとりの行動を身につける機会にしたいですね。

つづく

プロフィール

さとえ学園小学校 やまなかせんせい プロフィール画像

兵庫県たつの市立新宮小学校

主幹教諭 石堂裕


なぜ、小学校の先生に?

身近な家族が教員だったため、小学生のころから「先生になる」と決めていました。小学校に決めたのは、教育実習での1年生との出会いです。授業の難しさを実感して、「もっと究めたい」と思ったことが、今も私自身を支えています。

my belief

「ピンチがチャンス!」

授業では、「ま(待つ)つ(つなげる)の(のせる)き(気付かせる)みと(認める)」