東京都八王子市立由井第三小学校
主任教諭 八木美香
このコロナ対応の中で、当校は、日光移動教室に今週金曜から二泊三日で出かけます(8月26日時点)。
「この時期に出かけるの?」と、別の地域に在勤している教員仲間から心配されることが多くあります。GoToキャンペーンで東京が除外になったことや、都知事が東京に留まるように呼び掛けたこと、都内の小学校が宿泊行事を中止したことなどから、宿泊行事の実施に対して心配になる人が多いことは必然だと考えます。今回の記事では、企画・運営・実施する私を含め、子どもたちや保護者の方々の不安を軽減する対応策を考えた、この2か月間について整理してみようと思います。
まず、子どもたちの充実した学校生活をつくろうと考えている人がたくさんいる、ということを実感しました。日常の学校生活では、意識する視野が基本的に子ども、保護者、教師くらいのサイズになっています。しかしながら今回、視野を広げてみると、子どもたちの宿泊行事の実現のために、学校だけでなく、市教委、市役所、観光バス会社、観光ガイド、宿舎の方々がそれぞれ試行錯誤してくださっていました。
報道からの情報では、経済活動を活性化させるためと強調されることが多いのですが、そのためだけではなく、“子どもたちのために”と考えてくださっていることが、関係者の言葉、行動の端々から感じ取れました。それはまるで、それぞれの方が目の前の課題の解決のために「総合」の学習活動を行っているかのようでした。担当者どうしで、予算や感染対策のための具体策などの情報交換が積極的になされていました。
実地踏査のあとに、子どもたちに状況を説明したり、保護者会で保護者に説明したりする機会がありました。子どもたちは、まわりの大人たちが自分たちの学校行事の実現のために動いていることを理解し、意気に感じて準備を進めていきました。
まず、班や係を決めて、それぞれの担当で案を出して、みんなに提案するという形で行いました。感染防止対策のために、2学級54人が大変蒸し暑い体育館で安全な距離を保ちながらの活動でした。
例えば、「クリーン係」は、宿舎での生活面、部屋の中での生活や風呂の使用について考えます。
キャンプファイヤーが実施できず、部屋での時間がたっぷりありますので、「部屋レク係」は部屋での楽しい時間を企画します。
「運営係」は、二泊三日の全体の流れを把握して、子どもたち全員を集めて整列させたり、見学や体験場所での挨拶をしたりするための準備をします。
「係の仕事を考える時間」→「班に戻って提案する時間」→「係」→「班」……と行うことで、話がどんどん進み、班それぞれの計画ができていきました。しおりは、クリアファイルを使って、班ごとに完成したページを綴って行く形を取りました。
夏休みに入る前に市が導入したMicrosoft Teams(チーム内でのチャットや会議、ファイルやスケジュール管理などができるツール)で、学級ごとにチームがつくられた(※)のですが、子どもたちは、それらを積極的に活用していました。
一人の児童が「持ち物について確認し忘れたのですが……」と投げかけると、そこから話し合いが始まり、5年生の時の移動教室の経験を話す姿や、7月の保護者会での話を自分の親に聞き取ってきたことを交えて話す姿が見られ、最終的に「では、こうしたら大丈夫だね」と自分たちで決めていました。
担任が、夏休み期間に会えた子どもや直接電話でやり取りした子どもに「クラスのページを毎日見てない人は大丈夫かな?」と問い掛けると、「見るように伝えます」「クラスのページを見てみます」という答えが返ってきており、互いに補い合う姿も見られました。
※Teamsについては、夏休み直前にIDとパスワードの配布が市からありました。インターネットを使うことに積極的な子どもが、使い方のわからない子どもにやり方を教える姿も見られ、多くの子どもが学級のページを見ています。夏休み期間で使うのが楽しくなり、書き込みが多過ぎるという時期もありましたが、「クラスの使い方を話し合ってみようよ。インターネット(オンライン)で初の話し合いだね」という担任からの呼び掛けで話し合いが行われ、夏休みの間の使い方が決まり、現在は互いに声を掛けながら上手に使えています。
さぁ、新学期スタートの翌日出発の移動教室。行ってきます!
つづく
東京都八王子市立由井第三小学校
主任教諭 八木 美香
なぜ、小学校の先生に?
元々はピアノの勉強をしていました。子どもたちと歌ったり、踊ったりすることが大好き。体を動かすことが大好き。お出かけすることが大好き。工作することも大好き。子ども一人ひとりの「楽しい♪」の表情が何より大好き。
my belief
「楽しい♪」の中に学びあり。