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算数の知識を使って解明したいな

兵庫県たつの市立新宮小学校

主幹教諭 石堂裕

10月になり、緊急事態宣言が解除されました。本校の6年生が、1学期より取り組む「わがまち見聞録」(総合的な学習)も、感染対策をしっかりと行い、外部講師を招いたり、現地再調査を行ったりとさらなる探究的な活動へと進んでいくことが期待されます。

さて、6年生のみんなは、夏休みはもちろん、緊急事態宣言中も、自宅で取り組むオンデマンド学習や対面での授業を組み合わせながら、市の日本遺産である「北前船」について学習しました。

朝日小学生新聞の記事や市史・町史に記載された資料から読み取った自分の意見を、協働学習ツール「コラボノート」に記録したのですが、7月後半から9月末までのその記録が資料1に示すようなA3版シートで150枚を超えていることを考えても、数多くの新聞記事や関連する資料(動画を含む)を読み、議論してきたことが分かります。

資料1:オンデマンド学習による個人の記録シート(個人情報保護の観点から判読不可の画像処理をしています)
資料1:オンデマンド学習による個人の記録シート(個人情報保護の観点から判読不可の画像処理をしています)

みんなで議論を積み重ねても、自分たちでは解決できない疑問にも出合います。そんな時は、北前船を研究する大学の先生との同時双方向による遠隔授業をしたり、県外の小学6年生と「海」をテーマに意見交流をしたりしながら、広く深く考えることを楽しんできました。

写真1:研究者との「北前船」に関する遠隔授業
写真1:研究者との「北前船」に関する遠隔授業

ところで、資料の中には、算数の学習内容を使って解明したいこともありました。例えば、北前船の帆の大きさです。

資料から、江戸時代後半の室津(市にある北前船の寄港地)では中型の弁財船が利用されていたことが分かりました。「長さ五丈五尺五寸、幅弐丈弐尺六寸」と書かれてあるのですが、帆の大きさは記されていません。そこで、6年生のみんなは、史実に残る北前船の絵をもとに「比とその利用」の学習で習得した知識を使って、帆の大きさを解明しようとしました。このような複雑な問題は、解答の手順を明らかにしておくことが大切です。尺貫法をメートル法に直すところまでを全体で行い、その後はペアで取り組みました。互いに計算を分担しつつ、進める様子は真剣そのものです。

写真2:ペアでの対話を通じて最適解を導く
写真2:ペアでの対話を通じて最適解を導く

帆の実寸が分かったペアから、その縮小版の帆を牛乳パック船につけて、実際にどの程度進むのかをやってみました。送風機からの風を受けるとどんどん進んでいきました。強風だと転覆し、風が止まると動かず、窓から入る自然の風を受けると戻る様子に、「資料に書いてあったように遭難が多いことが分かる」と、読み取った資料の記述と重ねるペアもいました。数学的活動が既有の知識と結びついた証ですね。

写真3:実際に模型で点検
写真3:実際に模型で点検

このように、6年生の子どもたちは帆の大きさを知るために、「比」を軸に、「小数のかけ算、割り算」、「長さの単位換算」等の算数の知識を組み合わせながら、帆の大きさを見つけ出しました。苦労した分、模型が動いた時のみんなの表情が最高でした。算数の知識を使うことを楽しんでいる姿って、いつ見ても心が躍りますね。

つづく

プロフィール

さとえ学園小学校 やまなかせんせい プロフィール画像

兵庫県たつの市立新宮小学校

主幹教諭 石堂裕


なぜ、小学校の先生に?

身近な家族が教員だったため、小学生のころから「先生になる」と決めていました。小学校に決めたのは、教育実習での1年生との出会いです。授業の難しさを実感して、「もっと究めたい」と思ったことが、今も私自身を支えています。

my belief

「ピンチがチャンス!」

授業では、「ま(待つ)つ(つなげる)の(のせる)き(気付かせる)みと(認める)」