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ものづくりの活動での子どもの見取りについて(思考力、判断力、表現力)

東京都港区立芝浦小学校 主任教諭 八木 美香

自分の考えや工夫したところを文章で表現することが難しい低学年のこの時期。子どもたちの学びを見取るには、活動後の振り返りだけで十分とは言えないかもしれません。では、どのようにすればよいのでしょうか。今回は、活動中の子どもの姿からの見取りを紹介します!!

プリンカップで玉入れをつくっている子ども。玉がカップに入るように、自分であれこれ試しながらつくる姿がありました。しばらくして、再び見に行くと、玉入れのかごの向こう側に箱がついています。「お!できてきたねぇ。」と教師から話しかけると、それを指さしながら、このように教えてくれました。 

イラスト作成 八木先生
イラスト作成 八木先生

玉入れのかごを安定して立たせるために箱を付けたようです。「かごが倒れなくなったね。」と言ってみたところ、うれしそうにうなずきながら、玉を入れて見せてくれました。

しばらくしてもう一度見に行ってみると、友だちに遊ばせてほしいと声をかけられている場面でした。

イラスト作成 八木先生
イラスト作成 八木先生

支えに使っていただけの箱が、カップに入らなくても得点をもらえるスペシャルな箱に格上げされていました。「カップに入ると20点、箱に入ったら10点。」自分のつくった玉入れで友だちが「20点!」「10点!」と遊ぶ姿を見ながら、満足そうにニコニコしています。「この箱、10点もらえて良いねぇ。」と声をかけてみると、「横にも前にも箱を付けてみようかな。」とつぶやきながら、材料置き場に行こうとしていました。友だちとの関わりにより、遊びを楽しくすることを考えていると見取ることができました。

 

また、箱に得点があることで友だちが喜んでいることを教師が共感してくれたことから、自分の考えに自信を持ち、もっと工夫しようと行動を起こしている様子も見て取れます。

 

このように、思考、判断、表現と密接に結びつきながら、次への課題を見つけることにつながったと考えられるのではないでしょうか。(学びに向かう力:今度はもっと工夫してよりよいものをつくりたい)

この子どもは、活動後に書いた振り返りカードに「玉入れができました。カップに入ると20点。箱に入ったら10点…。」と書きました。このカードの記述だけでは、ここまでの展開は見取ることができません。活動中に教師は、できる限り、子どもの中に入り込み、姿を見て、つぶやきを聞きます。そして、声をかけてみて、教師の見取りが合っているのかを確かめることが、少しでも子どもに寄り添った見取りにつながるのです。

 


つづく

プロフィール

さとえ学園小学校 やまなかせんせい プロフィール画像

東京都港区立芝浦小学校

主任教諭 八木 美香


なぜ、小学校の先生に?

元々はピアノの勉強をしていました。子どもたちと歌ったり、踊ったりすることが大好き。体を動かすことが大好き。お出かけすることが大好き。工作することも大好き。子ども一人ひとりの「楽しい♪」の表情が何より大好き。

my belief

 「楽しい♪」の中に学びあり。