兵庫県たつの市立新宮小学校 主幹教諭 石堂裕
6月の梅雨入り前後、5月のはじめに植えたミニトマトが大きくなり始めます。2年生の子どもたちにとって、ミニトマトの気付きを見つける絶好の機会です。写真1は、観察カードに、自分のミニトマトの変化を記録しているところです。
この時期であれば、5月はじめの観察カードを工夫することがポイントです。例えば、国語なら観察のしかたや記録のしかたを学ぶ学習があったり、算数なら長さについて学ぶ学習があったりするからです。
Aさんの観察カードをもとに、そのメリットについて考えたいと思います。今回の場合は、国語や算数の学習内容との関連を図ることを目的に、写真2の赤い四角枠を示した箇所のように、①「色・大きさ・形」②「長さ・数」③「比べる・たとえる」といった観察するための条件を設けました。条件の項目は異なりますが、国語での既習事項と合わせています。
さらに、絵についても「国語の教科書の友だちは、どのように
書いていたかな」といった声かけをし、教科書にある作品を確
認する時間を設けました。すると、最初の頃は、ミニトマト全
体を記していたAさんも、写真3の様に、Aさん自身が伝えた
い、実への気付きのみを記すようになりました。さらに「気付
いたことを矢印を使って説明できるといいね」と声をかける
と、より具体的な絵と言葉で説明した記録へと変容したので
す。
最後に、条件にあわせて記録したメモや絵を確認しながら作文します。使いたい言葉や様子が明らかになっているため、子どもたちは、スムーズに具体的な作文を完成させました。もちろんAさんも同様です。
「ミニトマトが大きくなってきました。トマトは上らへんがみどりで、下がうすいきみどり色でした。ミニトマトが10こもできました。大きいミニトマトでくらべると、ひとさしゆびとくらべたらほとんど同じ大きさでした。びっくりしました。」(原文のまま)
Aさんの作文は、書き出したすべてのメモや絵の説明を使ってるわけではありません。それらの中から選択して記しているのです。ミニトマトの実の色や数が増えたこと、そして、1週間前は自分の人指し指より小さかった実が、大きくなったという喜びを伝えたかったのでしょう。
自由に記録させることも大切ですが、他教科で学んだ技を取り入れたカードにすることによって、より子どもたちの気付きの質を高めます。さらには可視化された気付きを用いながら表現することで、読み手に伝わるカードになりますね。
つづく
プロフィール
兵庫県たつの市立新宮小学校
主幹教諭 石堂裕
なぜ、小学校の先生に?
my belief
「ピンチがチャンス!」
授業では、「ま(待つ)つ(つなげる)の(のせる)き(気付かせる)みと(認める)」