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見つけた生き物をどう伝えようかな?

兵庫県たつの市立新宮小学校 主幹教諭 石堂裕

7月になると気温も上昇し、生き物が活発に動き始めます。

2年生の子どもたちは、グループに1台のタブレット探検ボードを持って、外へと出かけていきました。

子どもたちが選んだワークシートは、Yチャートです。「草むら」「木」「水辺」など生き物のすみかで分けているので記入しやすいという理由からでした。春のまち探検で培った体験が影響していると思われます。

写真1
写真1

さて、【写真1】は、バッタを見つけたところです。初夏だとまだ小さいため、「そうっとね」「やさしくね」といった、つぶやきが聞こえてきます。

バッタをつかまえると、子どもたちは、手のひらに乗せたり、服にくっつけてみたりと、ふれあいの時間が始まります。この時間がとても大切です。一人ひとり、子どもたちの中で、生き物への関心や気付きを高めているのです。


写真2
写真2

一方、【写真2】のように、タブレットを持っている子どもは、つかまえる前に撮影をしています。その理由は、「葉っぱの色と同じことを、みんなに知らせようと思って」だそうです。子どもたち一人ひとりに思いや願いがあるからこそ、グループに1台のタブレットがあったとしても、全員が順番に撮影ができるよう、それを約束ごとにしておくことが大切だと感じました。


さて、教室に戻った子どもたちは、【写真3】のように、自分の生き物について、図鑑や資料から情報を集めます。「みんなにも知らせたいことを、ふせんに書き出してみようね」と声かけをし、【写真4】にあるような共有コーナーを用意しておきました。もし、「先生、疑問に思ったことも書いていい?」という子どもがいたら大歓迎、【写真5】のように、みんなで疑問を解決する時間につながります。

写真3
写真3

写真4
写真4
写真5 ※クリック(タップ)すると拡大します。
写真5 ※クリック(タップ)すると拡大します。

子どもたちは、見つけた生き物を詳しく知ることで、より愛着を深めるだけでなく、誰かに伝えたくなる喜びも高めていきます。そうなると、伝える準備です。

写真6
写真6

国語での学びを生かし、1年生に、クイズ形式で伝える見通しをもった子どもたち。ここで使うのが、タブレットで撮影した記録です。複数ある記録から、自分たちの伝えたいことに合う写真を選択し、編集します。


写真7
写真7

例えば、【写真7】に示すように、ダンゴムシの赤ちゃんを伝えるグループは、タッチペンを使って、赤ちゃんを赤く丸で囲みました。「やっぱりこれの方が、1年生の子もわかりやすいなあ」と、グループみんなで、深くうなづきながら作業を進めていました。

さて、1年生に見つけた生き物を伝える日、子どもたちが、特にこだわったことがあります。それは、“生き物を見つけた場所”で発表を行うということでした。「すみか」や「えさ」がわかるように飼育ボックスを置いたり、クイズ形式で生き物を紹介したりしました。

見つけた生き物へのこだわりが、伝え方にもよい影響を与えることを実感した学習となりました。

写真8
写真8
写真9
写真9

つづく

プロフィール

さとえ学園小学校 やまなかせんせい プロフィール画像

兵庫県たつの市立新宮小学校

主幹教諭 石堂裕


なぜ、小学校の先生に?

身近な家族が教員だったため、小学生のころから「先生になる」と決めていました。小学校に決めたのは、教育実習での1年生との出会いです。授業の難しさを実感して、「もっと究めたい」と思ったことが、今も私自身を支えています。

my belief

「ピンチがチャンス!」

授業では、「ま(待つ)つ(つなげる)の(のせる)き(気付かせる)みと(認める)」