兵庫県たつの市立新宮小学校 主幹教諭 石堂裕
さあ、夏休みが始まりました。子どもたちにとっては楽しみな夏休みですが、ちょっぴり寂しがっているものがあります(います)。それは、1学期に育てた5種類の野菜たちです。毎日のように、校内の農園まで観察に来ていた子どもたちがいなくなり、野菜たちは、寂しい気持ちでいっぱいのはずです。
では、この夏休みに、この野菜たちをどうすればよいでしょうか。私は、子どもたちが学校に戻ってくる9月になったら、その野菜たちの変化を記録できるように、処分しないことにしました。(昨年の事例を季節を先取りして紹介します!)


9月最初の生活科の時間、子どもたちは、1学期と同じように、五つの野菜の生長を比較できる観察カードを持って、農園に集まってきました(写真1)。さっそく子どもたちの目に飛び込んできたものは、種をつくる準備に入った野菜たちでした(写真2)。
「種は、どこにあるかな」と問うと、みんなは「この枯れたオクラの中」という予想でした。「開けていいよ」という言葉を聞くやいなや枯れた実を割る子どもたち。子どもたちの個別のカードには「やっぱり種が入っていた」、「この種、春に植えた種と同じだ」、「種が増えた。まほうみたい」など、あっという間に素敵な気付きでいっぱいになりました。
その後の「ひとりの気付き」を「みんなの気付き」にする過程で、子どもたちは、「先生、やっぱり種から種ができるね」ということを口にしました。この「種から種ができる」という言葉から、「種→花→実→種」といった植物の一生を理解していることがわかります。
さらに、「種が部屋の中で順番にならんでいる」と気付いた子もいました。この子は、他の野菜の種のでき方が気になり、さっそくオクラとダイズを比較して、「部屋が分かれていることが同じだ」という気付きを書き出しました。合わせて、「キュウリやナスも部屋に分かれているのかな」といった疑問ももったようです。別の子は、「そういえば、アサガオも部屋があって並ぶように入っていたなあ」と既有の知識と比較した気付きを書き出していました。

夏休み、畑をそのままにしておいたことで、子どもたちは、植物の一生のうち、種のでき方についての新たな知識を理解するきっかけになりました。
つづく
プロフィール

兵庫県たつの市立新宮小学校
主幹教諭 石堂裕
なぜ、小学校の先生に?
my belief
「ピンチがチャンス!」
授業では、「ま(待つ)つ(つなげる)の(のせる)き(気付かせる)みと(認める)」