東京都大田区立久原小学校 主任教諭 小笠原さちえ
前々回から紹介している、2年生の内容(6)『自然や物を使った遊び』の単元づくり。前回は、この遊び単元をさらに詳しく、教師の具体的な支援の観点から、単元の導入部分における環境構成の工夫をお伝えしました。
今回はその後編として、小単元1「身近にある物と十分にふれあって遊ぶ活動」での教師の具体的な支援についてお伝えします。
身近にあるものを並べる、積み重ねる、転がすなどして様々な素材の特徴を生かして遊び始めた子どもたちが、さらに遊びを広げて様々なことに気付くことができるように、教師は少しずつ環境を変えていきます。
時間ごとや子どもたちの遊ぶ様子に応じて変えていくことが環境構成のポイントです。
遊ぶ様子を見つつ、踏み切り板などの坂道になるもの、子ども用プールなど水を入れられるもの、平均台などを設置します。そうすることで、坂道を転がす、水に浮かべる、高いところから落下させるなど、一つの素材でできる遊びが広がります。
さらに、子どもたちは風の力、水の力など見えない力のはたらきに興味をもって、工夫しながら遊ぶようになりました。
遊べるものも徐々に増やしていきます。空き箱や空き容器で遊び、少し経った頃に、ゴム・磁石・うちわ・電池などを置いておきます。
坂道を使ってものを転がしたり滑らせたりして遊んでいた子どもたちは、うちわを使って坂道を登らせようとしていました。筒を平均台の上に置いてうちわであおぎ、まっすぐに転がそうとする子もいます。
紙コップを重ねたり並べたりして遊んでいた子どもたちは、重ねたものをあおいで崩したり、紙コップを床に置いてあおいで走らせたりしていました。
ゴムにものを引っ掛けて飛ばしたり、平均台の上に紙コップや空き箱を並べて、ゴムを飛ばして落とそうとしたりする子もいます。
紙コップや空き容器の中に電池を入れて滑らせると速く動くことに気付いた子もいました。
磁石で遊んでいた子どもたちは、空き箱に磁石を貼り付けて、磁石の力で箱を動かそうとしていました。
また、空き容器を水に入れていた子どもたちは、初めは、空き容器を浮かべたり、容器の中に水を入れて沈めようとしたりを繰り返して、どのようなものが浮かんでどのようになると沈むのか、遊びながら試していました。
しばらくすると、水に浮かぶ素材を組み合わせて船をつくろう、となりました。そして、船ができ上がると、うちわで扇いで水に浮かべた船を動かしていました。
このように、身近にあるものを使って工夫しながら遊ぶことを通して、子どもたちが様々なことに気付き、気付いたことを生かして徐々に遊びに使うものをつくる活動へと移行していくようにするのです。
教師は、子どもたちが、内容に沿った思いや願いをもつことができるような環境を意図的に構成し、子どもたちがもった思いや願いを実現する中で、様々なことに気付けるよう支援していくのが大切だと考えています。
つづく
プロフィール
東京都大田区立久原小学校
主任教諭 小笠原さちえ
なぜ、小学校の先生に?
my belief
「笑う門には福来る」
「笑顔がいっぱいの教室にも福がたくさん訪れる!」と信じています。