スタートカリキュラムの準備をしましょう

東京都大田区立久原小学校

主任教諭 小笠原さちえ

新型コロナウイルスの感染拡大予防等のため、多くの学校が休校となり、今年度の終わりに子どもたちと一緒にこんなことをしたい……と考えていたことが思っていたようにできず、残念に思っている先生方が多くいらっしゃるのではないでしょうか。

スタートカリキュラム

そんな中でも、今年度のまとめや新年度へ向けての準備と、慌ただしく取り組んでいるのではないでしょうか。

そこで、今回は、スタートカリキュラムの準備にあたり、校内の体制づくり教職員への共通理解を図るためにしておくべきことなどをお伝えしたいと思います。

スタートカリキュラムとは・・・

『スタートカリキュラム スタートブック』
『スタートカリキュラム スタートブック』

『スタートカリキュラム スタートブック』(文部科学省 国立教育政策研究所 教育課程研究センター作成。平成27年に全国の小学校の配布されています)には、次のように示されています。

 小学校へ入学した子供が,幼稚園・保育所・認定こども園などの遊びや生活を通した学びと育ちを基礎として,主体的に自己を発揮し,新しい学校生活を創り出していくためのカリキュラムです。

スタートカリキュラムの実際と見直しについては、以前の記事をご参照ください。


スタートカリキュラム作成の準備

スタートカリキュラム

さて、みなさんご存知の通り、令和2年4月から新しい小学校学習指導要領(平成29年告示)が全面実施となります。

まず、『小学校学習指導要領(平成29年告示)』第1章 総則 第2の4では、学校段階等の接続の中で、幼児期の教育との接続及び低学年における教育全体の充実について、以下の通りに示されています。

 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を踏まえた指導を工夫することにより、幼稚園教育要領等に基づく幼児期の教育を通して育まれた資質・能力を踏まえて教育活動を実施し、児童が主体的に自己を発揮しながら学びに向かうことが可能になるようにすること。

 また、低学年における教育全体において、例えば生活科において育成する自立し、生活を豊かにしていくための資質・能力が、他教科等の学習においてもいかされるようにするなど、教科等間の関連を積極的に図り、幼児期において自発的な活動としての遊びを通して育まれてきたことが各教科等における学習に円滑に接続されるよう、生活科を中心に、合科的関連的な指導や弾力的な時間割の設定など、指導の工夫や指導計画の作成を行うこと。

そして、『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 総則編』には、次のように示されています。

 特に、小学校の入学当初においては、幼児期の遊びを通じた総合的な指導を通じて育まれてきたことが、各教科等における学習に円滑に統合されるよう、スタートカリキュラムを児童や学校、地域の実情を踏まえて編成し、その中で、生活科を中心に、合科的・関連的な指導や弾力的な時間割の設定など、指導の工夫や指導計画の作成を行うことが求められる。

つまり、スタートカリキュラムは、新しい学習指導要領の中で、より一層充実させていくことが求められていることがわかります。

それでは、上記を踏まえてスタートカリキュラムの作成の手順と具体的な内容について示していきます。

  1. 担当するところを決める
  2. 担当する委員が中心となって、カリキュラムを作成する
  3. 運営会議や職員会議などでスタートカリキュラムについて提案する機会を設定する
  4. 1学期後半、または、夏休みにはスタートカリキュラムについての振り返りを行う
  5. 2学期から、次年度へ向けての検討を始める

以上の手順で行います。

スタートカリキュラム

次に、内容について示します。

1.担当するところを決める

校内体制ができていない場合、まずは、管理職の先生に、次年度からスタートカリキュラムを行うべく準備をすすめたい旨を相談する。校内分掌のどこが作成し担当するのかを決める

生活科部会入学委員会、または校内でスタートカリキュラム委員会などを立ち上げることができるようであればなおよいでしょう。できれば、全学年と専科教員が入っていることが望ましいです。)

2.担当する委員が中心となって、カリキュラムを作成する(データまたは紙)

(1)スタートカリキュラムとは、どういうものなのか。

(2)なぜ、スタートカリキュラムが必要なのか。

この二つは、学習指導要領や先程示した『スタートカリキュラム」 スタートブック』などから抜き出すとよいでしょう。

『小学校学習指導要領(平成29年告示))生活編』にも具体的に示されていますが、まずは、総則に示されているということ、次に生活編において具体的にどのようにしていくとよいと示されているか、が伝わるとよいと思います。

どこに示されていたか、出典も合わせて記しておきましょう。

(3)学習指導要領などを参考にして基本的な考え方を決めて、示す。

<例>

・児童一人ひとりの姿から構成する。

・児童の発達の特性を踏まえ、時間割や学習活動を工夫する。

・生活科を中心に合科的・関連的な指導の充実を図る。

・主体的に自己を発揮しながら学びに向かうことができるようにする。

・安心して自ら学びを広げることができる学習環境を整える。

・「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を踏まえ、幼児期の教育を通して育まれた資質・能力をさらに伸ばしていくことができるようにする。

(4)児童の実態をもとに、目指す児童の姿を考えて決める。

入学前の場合は、ここ数年の1年生の姿をもとにするとよいでしょう。

<例>

・安心して自己発揮する児童

・他者との関わりを楽しみ、それを広げようとする児童

・自分の思いや願いをもち、夢中になって学ぶ児童

(5)スタートカリキュラムを構成する活動の類型を示す。

『スタートカリキュラム スタートブック』を参考にして、各学校の実態に合わせて時間の名前と内容を考えるとよいでしょう。

のんびり

タイム

一人ひとりが安心感をもって生活することをねらいとした時間

(安心をつくる時間)

なかよし

タイム

安心感をもって、新しい人間関係を築いていくことをねらいとした時間

わくわく

タイム

合科的・関連的な指導による生活科を中心とした時間

きらきら

タイム

教科等を中心とした時間

(6)校内体制について示す。

幼稚園や保育所、こども園などでたくさんの経験をしてきた子どもたちですが、

 1 自分たちで考えてできること

 2 初めての環境で戸惑いがあること

 3 まだ少し難しいこと

の三つがあります。

子どもたちの姿から、自分たちで考えてできることは、自信をもってできるようにする。戸惑いがあることは、安心してできるようにする。少し難しいことは、サポートしていくようにする。

<例>

・6年生の児童へ事前に1年の担任からのお願いを渡す。6年の担任からその内容について事前に指導してもらう(1年生が安心できるように声をかける。1年生ができることは見守るようにする等)。

・入学当初、約4週間の給食準備と下校の際に、スクールサポート(地域の方)にお手伝いをお願いする。

・朝の時間と給食準備に専科教員がフリーで入る(2週間程度)。

・登校時6年の当番の担任が昇降口に立つ(2週間程度)。

・1年担任は、1巡目の週番を外す。

・集団下校の際には学校主事1名に付き添いをお願いする。

(7)週ごとのねらいを決めて、それをもとにして週案を作成する。

『スタートカリキュラム  スタートブック』を参考にするとよいでしょう。

<週案作成のポイント例>

・児童の生活リズムに合わせた時間割を設定する。

・学習活動の配列や時間配分の工夫をする。

・なかよしタイムの時数について、入学当初の10時間は、学校行事としてカウントする(余剰からにするのか、学校行事として行うのか、管理職・教務主幹と相談する)。

・第4週までを一つの目処として行い、その後は、連休後や2学期のはじめなど、児童の実態に合わせて適宜取り入れていく。

スタートカリキュラム

3.運営会議や職員会議などスタートカリキュラムについて提案する機会を設定する

担当が作成したのち、誰が1年の担任になってもスタートカリキュラムを行うことができるようにするために、年度始めの会議の際に学校内の教職員でスタートカリキュラムについて共通理解が図れるように提案します。

4.1学期後半、または、夏休みにはスタートカリキュラムについての振り返りを行う

次年度へ向けてブラッシュアップできるように、全校の教職員からの反省を集め、1年担任でその後、担当したところの振り返りを行い、全校でも共有します。

子どもたちの姿はもちろんですが、保護者からの声も記録しておくとよいでしょう。

5.2学期から、次年度へ向けての検討を始める

振り返りをもとに、校内で次年度へ向けての検討をして、次年度の教育計画に、改善したスタートカリキュラムを入れるようにします。

4月が待ち遠しいですね。
4月が待ち遠しいですね。

4月には、それぞれの小学校で、1年生の子どもたちが安心して学校へ通う姿、学校生活を楽しむ姿、自信をもって意欲的に学ぶ姿がたくさん見られることを楽しみにしています。

つづく

プロフィール

さとえ学園小学校 やまなかせんせい プロフィール画像

東京都大田区立久原小学校

主任教諭 小笠原さちえ


なぜ、小学校の先生に?

小学校の卒業文集に「幼稚園の先生になりたい」と書いたと思います。幼稚園教諭として10年間勤務した後、「幅広く子どもたちと関わることができる人になりたい!」と思い、現在の道に至りました。

my belief

「笑う門には福来る」

「笑顔がいっぱいの教室にも福がたくさん訪れる!」と信じています。