東京都港区立芝浦小学校
主任教諭 八木美香
休校の3月。
「次の学年まで、あと17日!」というところで、いきなりの0日。2月28日の朝は、今までに味わったことのない教室の雰囲気でした。
「今日で、終わっちゃうの?このクラス」
前日のニュースを見たり、家族の話を聞いてきたりして心配そうな子どもたちの顔、顔、顔……。
今回は、
1.最後の1日(2月28日)に向けて、学年の担任7人で準備・実行したこと
2.休校期間の職員室での「勉強会」
について、書いてみようと思います。
1.最後の1日(2月28日)に向けて、学年の担任7人で準備・実行したこと
2月27日。勤務を終えて、50km先の自宅に向けて特急列車に乗っていたとき、同学年の先生からメールが入りました。
「ニュース見てください!職員室に残っている人たちで大騒ぎです!」
ものすごく驚きました。でも驚いている場合ではありません。明日1日で学級を閉じなければならないのです。
さっそくノートとふせんを取り出して、明日1日でやることを思いつくままに書き出していきました。
*近々やる予定にしていたワークテスト
*持ち帰りする学用品
*返却物
*3学期で転出する予定の子どものお別れ会
*教室の片付け(掲示物、掃除) 等々
そして、例えば…
*ワークテスト:実施により、履修済・未履修を明らかにする
など、学年便りや学級便りで未履修事項を伝え、家庭で何を学習してほしいかを整理して伝える必要があります。
そこで、まず、学級便りにも使えて、学年便りにもなる形で資料を作成して、同学年の担任たちに示すことにしました。
*学用品:たくさんのものをどのように持ち帰るか
道具箱、鍵盤ハーモニカの大物だけでなく、教科書やノートを教室に保管しておくための学習ボックスにも、たくさんのものが入っていました。これらを持てるだけ持ち帰るようなことをしてしまったら、安全面でも心配になります。
そこで、家庭の学習で活用することなども考えて、
◆教室に保管しておくもの ①次年度校内で引き継げるもの ・名札、探検ボード、防災ヘルメットなど →学習ボックスに入れてロッカー上で保管し、次年度、学習ボックスを新しい自分の教室へ運ぶ。
②年度内に保護者に引き取りに来てもらうもの ・次年度にすぐには使わないもの ・次年度は使わないもの(鍵盤ハーモニカ、絵の具、プリント類) →ロッカーの中に入れて保管。ロッカーを学校と家庭とをつなぐ窓口にし、教室に残っていたものがあったら、ロッカーに入れておき、そこから引き取ってもらえるようにする。
◆2月28日に持ち帰るもの ・休校中に家庭学習に使用する教科書、ノートなど |
として、分別しました。
そして2月28日の朝。
さらに、2月28日の5時間授業で、本来学年末にすることを行えるように、1日の流れをつくり、同学年の担任に示しました。
いつもは様々な事情で出勤時間は7人バラバラですが、この日は7時40分には全員そろっていました。
主体的に対話的に動くことができる7人は、私(八木)から示された資料から、
①未履修事項を示し、それを家庭学習にすることを伝える学年便りを発行すること
②持ち物は、三つに分類して整理すること
③今日の5時間で教室を学年末の状態までにすること
を確認し、全学級で実施することができました。
7人の担任集団が主体的、対話的な集団になっていたからこそ、非常事態になっても、明確にリードすることで、それをもとに話し合い、結果として各学級で細部にわたり、行き届いた指導につながりました。
2.休校期間の職員室での「勉強会」
私が所属する2年生では、年間通して、教材研究を「勉強会」として行ってきました。
休校期間中も、全職員で行う仕事の合間をぬって、2年生では「勉強会」をいつものように開催しています。
そこに、他の学年の先生も参加するようになりました。
この「勉強会」を企画運営しているのは、本校が2校目の30代の先生です。
本校において、新任の若い先生から、30代、40代の先生まで幅広く関わっていて、かつそれぞれの得意分野を知っているこの先生は、今が好機と
「こんな勉強会を開いてください!」
「いつなら可能ですか!」
と、どんどん交渉し、職員室の壁に『〇〇勉強会!〇月〇日〇時〜場所:〇〇』とポスターをペタペタ貼り始めました。
勉強会は、2年生の先生を中心に、その時々でいろいろな先生に声をかけて呼びかけているため、参加者がどんどん増えて行っています。
先週は体育のマット、跳び箱系の場のつくり方講座が体育館で開催されました。
「学べる!授業が楽しくなる!『勉強会』」の輪が広がっています。
学期末、年度末での休校になったため、成績処理などの仕事や諸帳簿の作成を行う時間は取れています。
区からの「居場所づくり事業」の担当も入ってきました。
卒業式や修了式、入学式が行えることになり、子どもたちと一緒に準備することは残念ながらできませんが、健康や安全に配慮した形にするための変更・準備の態勢は、全職員でじっくり行うことができています。
つづく
東京都港区立芝浦小学校
主任教諭 八木 美香
なぜ、小学校の先生に?
元々はピアノの勉強をしていました。子どもたちと歌ったり、踊ったりすることが大好き。体を動かすことが大好き。お出かけすることが大好き。工作することも大好き。子ども一人ひとりの「楽しい♪」の表情が何より大好き。
my belief
「楽しい♪」の中に学びあり。