1日6時間のリモート授業を支えたレベルアップ型ルール

さとえ学園小学校

教諭 山中昭岳

iPad活用のスキルとモラルの向上をめざして

前号では休校期間中に実施した1日6時間のリモート授業について書きました。本号では、その1日6時間のリモート授業を支えたレベルアップ型ルールについて紹介します。

本校では、1年生から個人持ちのiPadを「学びに役立つ道具」として持っています。毎日の授業での活用はもちろんのこと、持ち帰って宿題や連絡帳などに活用しています。

このような活用をしていく上で、ただiPadを渡して終わり、ではうまくいきません。iPadはすでに鉛筆や消しゴム、ノートのような文房具としての役割を果たしていますが、まだまだ特別なものです。何もしなければ格好の遊び道具にもなってしまいます。

本来ならば、子どもたち自らでルールなどをつくって(本校では子どもたちによるルールづくりも並行してやっていますが)、自分をコントロールする力を身に付けてもらいたいところですが、iPadの魅力にはなかなか勝てません。むしろこのiPadを持ちながらしっかりと自分をコントロールできる子はすごいですし、きちんと評価してあげたいと考えています。

日本の現状に鑑みても、まだまだiPadを活用するためにはスキルとモラルの指導もしていかなければなりません。そこで、本校では「レベルアップ型ルール」という仕組みを児童会の子どもたちとともにつくっています。

iPad活用のスキルとモラルを育成する「レベルアップ型ルール」の概要
iPad活用のスキルとモラルを育成する「レベルアップ型ルール」の概要

本ルールは、スキルとモラルの両面で判断するものであり、そのレベルの違いはiPadの画面の壁紙で表現しています。レベルが上がるごとに壁紙の色がグリーン、ブルー、ゴールドとなります。この色の活用はある制度を参考に考えたものです。それは、免許証の制度です。スキルとモラルが向上すればするほど、色の変化とともに活用の自由度が上がる設定になっています。

レベルアップ型ルールの一覧
レベルアップ型ルールの一覧

スキルアップについては、グリーンからブルーへは2週間に1回、ブルーからゴールドへは1か月に1回の本校オリジナルのWebテストを実施し、満点者のみ合格、一つ上のグレードへアップする、としています。例えば、グリーンからブルーのテストの内容は、自撮りをしてその写真上に自分の名前を書いてサーバ上に保存する、というものです。ブルーからゴールドへのスキルテストはかなり高度です。例えば、写真検索のやり方や危険なサイトの判断のしかたなどを答えるなどのテストであり、簡単には合格できないものとなっています。

モラルについては、教員の指導を具体的かつ明確にしています。グリーンの子どもたちはまだ初心者なので、授業中での教師の指示以外ではiPadを活用しません。つまり休み時間も勝手に使えませんし(授業等の続きで使う場合は、教師の許可を得て許可証を首からかけて「見える化」する)、授業中も机上にはありますが、教師の指示なしで勝手に見てはいけないのです。

逆にゴールドになると、休み時間、授業中ですら自由に使えます。そして、勝手な行動に対しての指導は「レベルアップしませんよ」「レベルが下がりますよ」と、告げるだけ。さらに繰り返す場合は、インターネットすらできない、かなり機能を制限したイエローやレッドという壁紙へと落ちていきます。こうすることで依存傾向の子どもを見つけ出すこともでき、個別指導へとつなげていくことができます。

スキルとモラルの総合評価でレベルアップが決定していきます。全校児童のこの判定を、Googleスプレッドシートを活用した全教員での日常的な見守りと情報共有、Googleフォームでのテスト作成・実施により、一人の教員で行うことができています。

本校がめざすBYOD(Bring Your Own Device)の実現は、子どもたち自らがデバイスを管理できること、スキルアップできること、そしてモラル面での自己コントロール力を身に付けることです。学校がデバイスを管理してしまうと、この機会を失ってしまうことになります。また、この方法をとることで、教師がデバイスを管理するという余計な仕事がなくなり、教師が本来やるべき教材研究に専念することができます。つまり、子どもたちが自分たちの学習スタイルを確立するために、従来の学習形態とは異なる授業デザインを見出していかなければなりません。これこそが、ICT活用をあたりまえにするために今教師がやるべきことです。

そういった意味で、本校がめざすBYODにおいては、まず一人一台を与える形でのスタートでなくてもよいのかもしれません。めあてを達成するためにデバイスが必要であれば自分で持ってこればいいし、そのよさが子どもたちどうしで伝わっていけば、その必要性から、必然的にデバイスを一人ひとりが持つようになる、そのような授業デザインの工夫からスタートするのもよいかもしれませんね。

いずれにせよ、小学校だけのことと考えるのではなく、これから生涯にわたって学び続ける基礎・基本としての役割を果たすため、小学校はBYODを実現させなければならないと考えています。

つづく

プロフィール

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さとえ学園小学校

教諭 山中昭岳


なぜ、小学校の先生に?

給食、遠足、修学旅行。楽しく、変化いっぱいの毎日が過ごせ、誰よりも一番近くで子どもたちの成長する姿をみることができるから。

my belief

教師自身が一番の学び手であれ!!