ゲストティーチャーとの関わりについて

東京都大田区立久原小学校

指導教諭 小笠原さちえ

新型コロナウイルス感染症拡大防止の影響により、少しずつ対策の方法が変わってきている地域や学校が多いかと思いますが、まだまだ活動に制限があり、安全のために試行錯誤しながら進めていることと思います。

前回は、制限がある中での生活科において、栽培単元を例に大切にしたい交流場面の工夫、主に友だちとの関わりを中心にお伝えしましたが、今回は、ゲストティーチャー等との関わりにスポットを当ててお伝えしたいと思います。

やはり、この状況では、今まで生活科など授業づくりの中で大切にしてきた友だちやゲストティーチャーなどの「人との関わり」を通して考えを広げる場面において、制限が多くあると思います。

野菜博士との交流

今年度の学習でも、野菜を育てている中で心配や、わからないことが出てくると、子どもたちから「野菜を研究している人に聞いてみたい」という声があがりました。例年であれば、授業中に地域の野菜博士に来校してもらい、一人ひとり、自分の野菜の苗を見てもらいながら悩み相談をしていました。

ですが今年度はそういったことができません。そこで、直接の交流ではなく、教えてほしいことや困っていることなどを紙に書いて植木鉢に貼っておいて、放課後の時間に野菜博士に来校してもらいました。そして、質問に答えてもらっているところを動画で撮影して、翌日子どもたちに見せました。

野菜名人への相談を記入した「植木鉢の貼り紙」と「相談に答える動画」を活用して交流を図る。
野菜名人への相談を記入した「植木鉢の貼り紙」と「相談に答える動画」を活用して交流を図る。

そうすることで、子どもたちは、昨年度までと同じように新たな世話のしかたがわかり、野菜にあった世話の方法のレパートリーが増えて、より野菜の様子を見ながら世話をするようになったり、安心して、自信をもって世話をするようになったりしました。

校内の栄養士との交流

例年では、野菜への興味・関心を広げるために校内の栄養士をゲストティーチャーとして、給食で使うソラマメのさやむき体験を行っていました。

今年度は、実がなってきた頃の「野菜を美味しく食べる方法を教えてほしい」「それなら栄養士の〇〇先生に聞いたらいいと思う」という子どもたちの声から、教室に来て夏野菜の美味しい食べ方のレシピを教えてもらうことにしました。

栄養士との交流場面。子どもたちの「野菜をおいしく食べる方法を知りたい」という声に応える。
栄養士との交流場面。子どもたちの「野菜をおいしく食べる方法を知りたい」という声に応える。

子どもたちの「美味しい食べ方を教えてほしい」というニーズに応えて栄養士との交流場面を設定したことで、より自分の野菜を美味しく食べるための工夫について具体的に考えることができ、家庭で実際にやってみようという思いにつなぐことができました。

読書学習司書との交流

また、国語科で学校の図書室についての単元があるのですが、図書室を授業中に利用することが難しい時期だったため、司書教諭に教室に来てもらってまずはできることを行うことにしました。

野菜に関するお話しの絵本を読み聞かせしてもらうことで、野菜への興味・関心を広げることができました。

そのほかにも、索引の引き方など、図鑑で「知りたい」と思ったことを調べる方法を教えてもらいました。

図書室の利用制限があるなかで、司書による教室での読み聞かせを実施。
図書室の利用制限があるなかで、司書による教室での読み聞かせを実施。

また、いくつかの絵本や図鑑を紹介してもらい、教室の近くに置いておくことで、朝読書の時間などに自分でも本で調べるようになりました。本が知識を広げることにつながるというのが少しわかったり、興味・関心をさらに広げることができたりした子もいました。

地域の図書館の司書の方との連携

地域の図書館である久が原図書館から、団体貸し出しで野菜のお話の絵本、野菜の栽培のしかたの本、野菜を美味しく食べる方法などの簡単な調理に関する絵本などを借りておき、「久が原図書館の〇〇さんのおすすめの本コーナー」をつくりました

先ほどの学校の本と同じように子どもたちは、本を手に取り、考えを広げることにつなげていました。次の単元である、地域との関わり・公共施設の利用の単元とも自然な形でつなぐことができました。

このように、前回の友だちとの交流や今回のゲストティーチャーなどとの交流を通して、子どもたちは考えを広げたり、新たな思いや願いをもったりすることができました。

予想困難な状況の中でも、未来を切り拓き、たくましく生きていくことができる子どもたちを育てていくため、私たち教師も、前向きに、できることを考えていきたいものです。

つづく

プロフィール

さとえ学園小学校 やまなかせんせい プロフィール画像

東京都大田区立久原小学校

指導教諭 小笠原さちえ


なぜ、小学校の先生に?

小学校の卒業文集に「幼稚園の先生になりたい」と書いたと思います。幼稚園教諭として10年間勤務した後、「幅広く子どもたちと関わることができる人になりたい!」と思い、現在の道に至りました。

my belief

「笑う門には福来る」

「笑顔がいっぱいの教室にも福がたくさん訪れる!」と信じています。