東京都八王子市立由井第三小学校
主任教諭 八木美香
主体的に活動できる子どもに育てていくために、教育活動全体を通じてはたらきかけることは言うまでもありません。また、「子どもの主体性を引き出すために『待つ』ことが大切である」という話もよく耳にします。
それらは「教師の仕掛けがあってこそである」と、私は考えます。そこで、今回は生活科や総合的な学習の時間の活動の様子ではなく、別の視点から書いてみようと思います。
6年2組の朝。子どもたちは、朝、8時10分のチャイムを合図に校舎内に入ってきます。
□ 朝の黒板
※現在10月。年度の始めではありません。
■特別なお知らせ(時間割の急な変更や大切な回収物を記します)
例:今日は3時間目と4時間目が入れ替わりました。
■行事や子どもが注目している学習への応援メッセージ
例:がんばれ!第2回走り幅跳び!めあてクリア!
□ 朝のルーティン
1.入室時のあいさつ+友だちへのあいさつ返し
あいさつの声が響く学校を目指しています。入室時に目にする位置に、あいさつを呼びかけるメッセージを掲示しています。掲示物が“風景”にならないように時々メッセージを変えています。
担任は、教室で子どもたちを受け入れ、率先してあいさつをしたり、あいさつが上手になってきている子どもを褒めたりしています。あいさつを定着化させるためには、粘り強い支援が必要だいうことを実感しているところです。
2.健康観察カードの記入
コロナ対策のための取り組みです。
3.宿題や自主学習ノートの提出
朝、色別になっている班の箱が並びます。班ごとに宿題や自主学習ノートを提出していきます。声を掛け合って提出することはとても重要です。子どもたちがうっかり提出を忘れることもなくなります。
ノートを毎朝、「みんなと一緒に出す」ことで、自然に友だちの学習状況を把握することになるため、家庭での学習にしっかり取り組む力となります。また、担任は子どもたちが提出している様子を手際よく確認することができます。
4.朝のタイムキーパー「CD係」(「3.宿題や自主学習ノートの提出」の時間帯に行う)
朝の作業の時間帯に教室内にBGMを流す係です。みんなの様子を見たり、時計で時刻を見たりして、曲の時間を配慮しながらCDのスイッチオン!
短い時間での朝の作業は、「時計を見ながらやりなさい!」と言ってもなかなか難しいものです。タイマーを使うことも考えられますが、結局、残り時間をチラチラ見なくてはなりません。子どもたちはCD係のおかげで「この曲は、ゆったり時間がある」「この曲は短いよ!」と知っているうえに、曲を耳にしながら「あ、歌の3番になるよ。もう、終わっちゃう!急ごう!急ごう!」と声を掛け合えます。
5.朝の会
・あいさつ
・出席確認
・お知らせ
プログラムはいたって普通です。「出席確認」では出席を取ります。担任が一人ひとり名前を呼んで目を合わせ、心や体の健康状態を見ていきます。
この時、子どもたちが少し楽しみにしているのが、その日の日直が決めて出題する「今日のテーマ」です。 とある日のテーマは「好きな漢字一文字」でした。出席確認で名前を呼ばれると、子どもたちは返事をしつつ回答していきます。
出席確認に答える声に張りが出てくるだけでなく、学級全体が和んでいきます。また、出席確認のリズムを崩さないようにしている様子も見えます。出席番号が早い子どもは、テーマに対する回答を素早く考えるようにしていたり、出席番号が中盤や終盤にある子どもは、楽しい回答を考えたりしています。
ここまで書いてきたように、気持ちよく学校生活をスタートさせる工夫の中に子どもの主体性を引き出す基盤をあちこちに埋め込んでいます。それに楽しくチャレンジしている姿がたくさん見られます。ぜひ、先生方もできることから始めてみませんか。
つづく
東京都八王子市立由井第三小学校
主任教諭 八木 美香
なぜ、小学校の先生に?
元々はピアノの勉強をしていました。子どもたちと歌ったり、踊ったりすることが大好き。体を動かすことが大好き。お出かけすることが大好き。工作することも大好き。子ども一人ひとりの「楽しい♪」の表情が何より大好き。
my belief
「楽しい♪」の中に学びあり。