東京都大田区立久原小学校
指導教諭 小笠原さちえ
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、制限がある中で工夫しながら子どもたちの学びを確かにしていくことが求められ、各学校においては、それぞれ試行錯誤が続いていることと思います。
今回は、体験を通して得られた無自覚な気付きを自覚する、一つひとつの気付きを関連付けたり、関係付けたりするなど確かな認識へとつなぐための工夫について考えていきたいと思います。
さて、学習指導要領の生活編には、自立し、生活を豊かにしていくことができるようにするため、気付きの質を高めるための指導の工夫の必要性について示されています。今回の学習指導要領の改訂のキーワードでもある「深い学び」は、「気付きの質の高まり」と関わりが大きいことがわかります。
実際の子どもたちの様子を見ていると、子どもたちは、生活科の活動で様々なことに気付き、次の活動へと広げたり、面白さを感じて没頭したりしています。
そのような活動や体験の中での子どもたちの無自覚な気付きを、自覚することができるようにする、また、個別の気付きを関連付けたり、関係付けたりするなどして確かな認識へとつなぐことができるようにすることが、生活科における教師の大切な支援になってきます。
生活科の活動は、子どもたちの多様性を尊重し、それぞれ子どもたちが自ら選んだり、決めたりして取り組むことから多種多様な活動が展開されます。すると、そこで生まれる気付きもとても多様であり、教師が想像している以上に無限です。私もいつも子どもたちに驚かされています。
例えば、2年生の栽培単元においては、育てている野菜も多種多様で、対象に働きかける方法も、観察する、肥料をあげる、支柱を立てる、など多様な活動が展開されます。
そのため、確かな認識へとつなげるための機会を設定する場合には、全員が同じタイミングで観察カードに全員が同じような方法で表現する等の「画一的な表現によるもの」ではなく、次に示すように、児童一人ひとりや一つひとつの活動に合わせて多様に設定するとよいでしょう。
- 友だちと交流し、言語や身体表現などで伝え合う
- ふせんにキーワードで記入して整理する
- 表に整理しながら記入する
- 観察カードにまとめる
- 振り返りカードに文章で書く
- 栽培活動を振り返り、まとめる(紙芝居・劇・絵本など)
このように、「多様な認識を確かにすることができる機会」を設定することが考えられます。
つまり、自分なりに考え、表現し、友だちと伝え合うことで、考えを広げたり、深めたりして認識を確かにしていく活動を繰り返していくのです。このようにして、子どもたちが自分の認識(本単元では「野菜って○○だね」や「植物を育てるって○○だね」など)を確かなものにし、自分の生活に生かし、生活を楽しく、より豊かにしていくこと(「これからも何か育てたいな」「植物をよく見てみよう」など)が、生活科の大きな目標の一つと言えるでしょう。
そしてどの単元でも、自分の力で未来を切り拓き、楽しく豊かに生きていくことができる子どもたちを育てていきたいと思います。そのために、子どもたちの力をより確かなものにする指導の在り方・支援の在り方について考え、実践していきたいと思います。
つづく
プロフィール
東京都大田区立久原小学校
指導教諭 小笠原さちえ
なぜ、小学校の先生に?
小学校の卒業文集に「幼稚園の先生になりたい」と書いたと思います。幼稚園教諭として10年間勤務した後、「幅広く子どもたちと関わることができる人になりたい!」と思い、現在の道に至りました。
my belief
「笑う門には福来る」
「笑顔がいっぱいの教室にも福がたくさん訪れる!」と信じています。