1人1台ありきで授業をつくる ~かくれた生きものをさがそう~

さとえ学園小学校

教諭 山中昭岳

「ICT=“ただの”遊び道具」という状況

GIGAスクール構想により各校に1人1台の端末が導入されています。

国立教育政策研究所が公開している、OECD生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)の「2018年調査補足資料(生徒の学校・学校外におけるICT利用)」をみると、日本の教育におけるICT活用状況は、OECD加盟国の中で最下位に位置しています。逆に、OECD加盟国の中でもトップのICT活用があります。それは、ゲームやSNSでの活用です。

このことは「ICT=“ただの”遊び道具」という状況であることを示しています。そして子どもたちのみならず、教師も保護者も感じていることです。これを払拭しない限り、教育へのICT活用は何をしてもマイナスなままです。

これを打開するために、「とにかく使ってみる」「とにかく1人1台ありきで授業をつくってみる」、こういう挑戦が必要です。使っていくうちに子どもたちの端末使用に関するルールやマナーの壁にぶつかると思います。その時の対応、ルールづくりについては、以前お伝えしたレベルアップ型ルールを参考にしていただきたいです。

※このルールを詳しく紹介した書籍も出ています。

『一人1台のルール――自由に情報端末(デジタル)を使えるようになるために』(為田裕行/さくら社)
『一人1台のルール――自由に情報端末(デジタル)を使えるようになるために』(為田裕行/さくら社)

「“ただの”遊び道具」から「“学びに役立つ”遊び道具」へ

今回は、「ICT=“ただの”遊び道具」の“ただの”を“学びに役立つ”へ変化させる実践を紹介します。遊び道具としての活用については変えることなく、遊びながらも学びに役立っているという実感を子どもたちの中に生み出すことができます。

本時は、飼育単元の導入、自然探検の導入や終末など、どこでも入れ込むことができます。

端末の活用は簡単です。ただ、写真を撮るだけです。

活動も簡単です。「生きものみつけ」をするだけです。

つまり、今まで諸感覚を用いて生きものみつけをしていたのを、端末を持って出かけ、みつけたら撮影するということにします。そこに、本ブログでも紹介した「かくれている生きものを他の人にわからないように撮影し、その写真でクイズ大会をする」というゲーム性を加えます。

ピンチアウト(画面を拡大)し、枯れ葉の中に隠れている生きものを探す子どもたち
ピンチアウト(画面を拡大)し、枯れ葉の中に隠れている生きものを探す子どもたち

さらに具体的な活動をご覧になりたい場合、NHK for Schoolの生活科番組「おばけの学校たんけんだん」の「かくれた生きものをさがそう」の番組をご覧ください。

最後に、このGIGAスクール構想は、日本にとって、教育へのICT活用が普及する最後の機会だと私は捉えています。今までほしかった1人1台端末はもう手に入りました。少しくらい環境が整わないからといって使えない、使わない方がいい、アナログの方がいいと言っている時代を皆さんの力で終わりにしませんか。日本の教師は優秀です。質の高い一斉授業ができるのですから。その優秀さを光り輝くICT活用の実践づくりに役立て、まばゆいばかりに、ICTの影が見えなくなるくらい輝かせましょう!!

つづく

プロフィール

さとえ学園小学校 やまなかせんせい プロフィール画像

さとえ学園小学校

教諭 山中昭岳


なぜ、小学校の先生に?

給食、遠足、修学旅行。楽しく、変化いっぱいの毎日が過ごせ、誰よりも一番近くで子どもたちの成長する姿をみることができるから。

my belief

教師自身が一番の学び手であれ!!