東京都八王子市立由井第三小学校
主任教諭 八木美香
5年生の移動教室が実施されました。今回は、その準備についてです。
東京は、今年度も緊急事態宣言、まん延防止等重点措置が発令され、学校行事が実施できたり、できなかったりハラハラドキドキの1学期でした。私の所属校では、5年生の移動教室(長野県)は6月に実施でき、6年生の移動教室(日光)も10月に実施予定で、準備が始まっています。
私は、昨年度6年生、今年度5年生の担任です。この事態の中で、移動教室が実施できました。貴重な機会と捉え、子ども一人ひとりを大きく成長させるための充実した活動を企画しました。また、今年度から一人1台のパソコンが完備されたので、これを活用しない手はありません!
1.質問大会
八王子市立小学校では、宿泊体験は5年生が初めてとなります。一泊二日です。5年生に進級してから、「楽しみ!」と話題になることが多かったのですが、担任としては、実は子どもたちのなかに心配や不安もあるのではないかと想像していました。
そこで、まずは「質問大会」を開催しました。子どもたちから出てきた質問事項を時系列で並べ、一泊二日の全行程が見えるようにしました。
質問の中での運営上の決定事項については、「これは、すでに決まっていることです」「これは、こういうものなのです」と次々と担任が回答し、それ以外の質問については学年約60名の子どもたちと一緒に眺め、考えて、「みんなで移動教室をつくっていこう!」という流れにしていきました。
そして、こんなやり取りが繰り広げられます。
子ども:「自由時間はありますか」
担任:「そういう時間設定はありません。部屋での時間の使い方をうまくすると班の友だちと楽しく過ごす時間をつくることができるかもしれませんね!」
子どもたち:
「え?!」
「時間を仕切る人が必要?」
「班長がその役目かな」
「そうだね」
「たくさんの荷物を部屋の中で整理しておかないと……」
「じゃ、部屋係をつくるか」
「部屋係がいたら、布団のこともお任せする?」
「自由時間の遊びを仕切るレク係もいるよ」
担任:「おお!いろいろな担当が必要なんだね。では、必要だと思う係を出し合っておいて、それを整理するという仕事から始めましょう」
子どもたち:
「『係』をつくるんだね」
「そういうの、やりたい!」
「はい!ぼくも!」
「移動教室実行委員だ!」
担任:「実行委員をやりたい人は、次の中休みに多目的室に集まったらいいですね」
集まったのは2クラス合わせて16人。さっそく仕事を開始します。
質問→仕事→係決めの順に進行し、班長、部屋係、キャンプファイヤー係、食事係、風呂係、バスレク係を決めることしました。もちろん、担任は近くで見ていて、実際に運営していけるように人数調整の魔法をかけます。係は、各班から選出して編成する形をとりました。係で決まったことは、自分の班のみんなに伝えるという任務があります。
2.係集まれ!
係の顔合わせは、一人一台のパソコンを持参で集合。Googleの「スライド」を活用し、係メンバー表、係の仕事、係が話し合って決めたこと(ルール)などを共同作業でどんどん書き込んでいきます。
担任が「○月○日までにつくったものは、しおりのページになります。印刷して配りますね」と、期限を示すと、子どもたちは仕事を分担したり、仕事の予定を考えたりしていきました。運営は、中休みや昼休みを利用する形に移行していったのですが、そこで、日常的に行っていた委員会活動との兼ね合いも出てきました。
子どもたち:
「どっちの活動が優先?」
「委員会に行っている間に話が進んでいた……。まずい。班のみんなに伝えられないから、決まった内容を教えて!」
「委員会に行くのを忘れた!」
「あれ? 移動教室中の委員会の仕事ってどうなるんだ? 前もって6年生に相談してこなきゃ!」
次から次へと課題が山積です。
係の子どもたちがしおりの担当ページの「完成」を宣言すると、担任はGoogleの機能を使って、子どもたちがそれ以上作業できないように「編集可能」から「閲覧可能」に設定を変えます。そうなると子どもたちの仕事は一段落し、次の仕事にシフトします。
係の子どもは、自分の班に戻り、印刷されたしおりのページを配布します。各自それを貼り合わせて、綴じてとしおりがどんどん分厚くなっていきます。そんな作業をしながら、係から班の友だちに「これはこういうことだよ」と説明があります。そのときにわからないことが発見されると、係が持ち帰って確認し、また班に報告。この繰り返しでどんどん「われらの移動教室」の準備が進みました。
荷物も係ごとに準備するようにしました。家で準備する生活に必要なものは大きなボストンバッグやリュックにまとめますが、係で使うものは学校で準備し、紙袋にまとめ、荷札を付けます。バスレク係がCDやクイズの本、ホワイトボードを。班長が朝の会で使う台本、ラジオ体操の音源CDを。キャンプファイヤー係が着火時の劇に使う衣装と道具、ダンス音源CDを。レク係が部屋での自由時間で使うカードゲームやパズルを用意します。これらは、「係で使うものは学校で友だちと相談しながら荷づくりする(個人の荷物には混ぜない)こと」を活動開始時から子どもたちに伝えておきました。そのせいか準備と並行して使うものの相談もバッチリできていたようです。
3.当日
子どもたちは「ここは自分の担当!」という自覚があるので、出発時から子どもたちによって主体的に運営されていきました。当日を迎えるまで「係」の活動にガッチリ取り組んで準備してきたわけですが、当日は自分の係だけに限らず、どの子も全体の動きをよく把握していて、互いに声を掛けたり、担当ではなくてもフォローし合ったり、みんなで楽しもうとする姿に大きな成長を感じました。
「学校行事」が「総合的な学習の時間」に位置付けられていることが見受けられますが、ただ時数としてカウントしてしまうことのないようにしたいものです。どんな活動でも「総合的な学習の時間」の授業づくりの精神で運営することで、効果を得られ、成果を上げられると感じる実践でした。
つづく
東京都八王子市立由井第三小学校
主任教諭 八木 美香
なぜ、小学校の先生に?
元々はピアノの勉強をしていました。子どもたちと歌ったり、踊ったりすることが大好き。体を動かすことが大好き。お出かけすることが大好き。工作することも大好き。子ども一人ひとりの「楽しい♪」の表情が何より大好き。
my belief
「楽しい♪」の中に学びあり。