授業づくりで不易なこと

兵庫県たつの市立新宮小学校

主幹教諭 石堂裕

夏休みも全国各地で、GIGAスクール構想によって整備された1人1端末をどう効果的に用いるかについて議論されています。私も全国の先生方と議論する中で、改めて、「端末は、使うことが目的ではなく、効果的な手段」だと実感しています。大切なことは、その時間の教育目標と評価を明らかにした授業設計をすることです。端末の利用が最もイメージしやすい「体育」を例に説明したいと思います。

この時間の体育は、6年生の「挑戦!ロンダード(側方倒立回転とび1/4ひねり後ろ向き)」の2時間目です。前時で単元の見通しと自分自身の課題を明らかにしているため、準備体操が終わると、写真1で示すように、NHK for Schoolの動画で技のポイントを確認しました。1人1端末のおかげで密を避けることができるとともに、自分のペースで技のポイントを記憶することができます。

写真1 端末で技のポイントを記憶中
写真1 端末で技のポイントを記憶中

例えば、写真2に示すA児は、手の着き方を反復していると思われます。既習の側転とロンダードでは、手の着き方が異なるのですが、A児はそこに気付き、頭のみではなく体も使って記憶しようとしています。このような様子をたくさん見ることができました。1人1端末であれば、自分が気になるところはくり返し確認できるし、ポイントの場面で静止して、体を使ってポイントを確認できるメリットがありますね。

写真2 動画のポイントを体をつかって確認
写真2 動画のポイントを体をつかって確認

ポイントの記憶が終わった子から自分の課題に合った練習に取り組みます。その際、動画のポイントが練習できるように、場の設定を工夫することがおすすめです。

さて、私は、写真3に示すB児に注目しました。練習コーナーに複数の子がいる場合は、お互いに、動きを録画し合うことは可能ですが、B児の練習コーナーは1人です。そこで、自分で録画設定し、演技した後に自分で確認をしています。B児はこの作業を何度も繰り返していました。

写真3 B児の学習の様子
写真3 B児の学習の様子

授業終末は、その時間の自己評価をクラウド上にある協働学習ツールに書き込むのですが、B児は、ロンダードのコツである「手で押す」や「両手同時に離す」を意識し練習したことを書き込んでいました。さらに次の時間の目標には「着地で止まること」を挙げていました。この書き込みが形成的評価となります。新学習指導要領では、この形成的評価を、教員は指導と評価の一体化に生かす必要があります。私は、子どもたち全員の自己評価をもとに、次の時間は、つまずいている子には回復学習(個別アドバイス)を、順調に技を習得できている子は協働的に学ぶ時間を設けました。

1人1端末になっても、不易なことは、教育目標と評価を明らかにした授業設計です。2学期も形成的評価を大切にしつつ、1人1端末を効果的に用いた授業づくりを追究したいです。

つづく

プロフィール

さとえ学園小学校 やまなかせんせい プロフィール画像

兵庫県たつの市立新宮小学校

主幹教諭 石堂裕


なぜ、小学校の先生に?

身近な家族が教員だったため、小学生のころから「先生になる」と決めていました。小学校に決めたのは、教育実習での1年生との出会いです。授業の難しさを実感して、「もっと究めたい」と思ったことが、今も私自身を支えています。

my belief

「ピンチがチャンス!」

授業では、「ま(待つ)つ(つなげる)の(のせる)き(気付かせる)みと(認める)」