資料づくり、ここがポイント!

兵庫県たつの市立新宮小学校

主幹教諭 石堂裕

世界的な課題となっている「海洋ごみ問題」については、多くの学校で、探究的に取り組まれているように思います。本校の6年生もその一つです。

写真1は、その学習の一環として行った高知県のK小学校6年生との遠隔授業の様子です。遠隔授業を仕組む際には、学習の意図が大切になります。

今回は、共通点として、海洋ごみ問題について、ともに学習経験があること、差異点としては、学校が瀬戸内海(内海)と太平洋(外海)に立地し、一方は校区には川しかなく、もう一方は校区に海があることです。例えば、瀬戸内海の海洋ごみは、年間4500トン(参考:瀬戸内地域における包括的海洋ごみ対策/日本財団/2020)の総量で、そのうち3/4が川を通じて流れ込んでいるといわれていることを考えると、本校のような学校の子どもたちの当事者意識を高めるためにも遠隔授業の機会は大切だと考えました。

写真 1:高知県K小学校との遠隔授業
写真 1:高知県K小学校との遠隔授業

さて、子どもたちは4年生の時、社会科学習の発展として、マイクロプラスチックごみ問題について学習し、その成果物として作成したちらしを地域の方に配布した経験があります。

図1:4年生の頃の学習の様子
図1:4年生の頃の学習の様子

その子らに、遠隔授業の前に8月に姫路市で行われた海底ごみ調査のDVDを見せました。その際、提示した資料の一つに、図2があります。

海底ごみ調査の場所、揖保川(本校は中流に位置)の流れ、そして室津港(2年前も現在も調査場所)の関係が分かるようにしたところ、「揖保川から流れたごみが海底ごみと関係している」と同様のつぶやきが教室のあちらこちらで聞こえてきました。子どもたちの当事者意識が高まるように願って作成した資料(図2)は、川と採取場所の位置関係が決め手となったようです。子どもたちの挙げた理由から判断できました。

図 2:海底ごみ調査場所の資料
図 2:海底ごみ調査場所の資料

遠隔授業では、図3や図4の資料を用いて、両校の子どもたちが、プラスチックごみについての考えを深める機会にしたいと思いました。実際の海底ごみは三つに大別された事実をもとに、意見を出し合うと、両校の子どもたちは、流木は水の働きや微生物の働きで分解されるけれど、残り二つはそうではないことに気付けました。

図 3:海底ごみの種類を知らせる資料
図 3:海底ごみの種類を知らせる資料

また、さらにペットボトルに焦点化できるように図4を提示したのですが、この資料では、「賞味期限の印字」から、ペットボトルが分解されにくいことに気付かせたいと思いました。意見交流での発言内容から判断すると、そのことをしっかりと理解できていたと思います。

図 4:海底ごみの賞味期限の印字に注目させる資料
図 4:海底ごみの賞味期限の印字に注目させる資料

資料づくりには、子どもたちの思考が活発になるように、比較したり、関連付けたり、取り出して大きく見せたりする工夫が必要です。これからも子どもたちが、ハッと気付ける資料を作成したいと思います。

つづく

プロフィール

さとえ学園小学校 やまなかせんせい プロフィール画像

兵庫県たつの市立新宮小学校

主幹教諭 石堂裕


なぜ、小学校の先生に?

身近な家族が教員だったため、小学生のころから「先生になる」と決めていました。小学校に決めたのは、教育実習での1年生との出会いです。授業の難しさを実感して、「もっと究めたい」と思ったことが、今も私自身を支えています。

my belief

「ピンチがチャンス!」

授業では、「ま(待つ)つ(つなげる)の(のせる)き(気付かせる)みと(認める)」