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生活科の学習から自分自身の生活へ 〜他教科の学習との関連を通して〜

東京都大田区立久原小学校 主任教諭 小笠原さちえ 

前回は、「自分自身の生活から生活科の学習へとつなげる学習環境の工夫について」でしたが、今回は、「生活科の学習から自分自身の生活を楽しく豊かなものにするための工夫」について紹介したいと思います。

子どもたちにとって自分自身の生活というのは主に、「家庭での生活」や「学校での生活」であると考えています。「学校での生活を楽しく豊かに」というと「休み時間にも、生活科で学習している活動にすすんで取り組む姿」が見られることも嬉しいものですが、今回は、「生活科の学習から他教科の学習を豊かにする姿」についてのお話です。育てたい力をより効果的に育むことができるように、年間指導計画の見直しをして取り組みました。

●第0次として

1月17日の石堂裕先生の実践でもありました2年生の植物の栽培単元を例に紹介します。

単元を始める前には、前回の記事で紹介した「わくわく広場」に植物の栽培に関する絵本や図鑑などを展示し、朝の読書タイムに、植物の栽培に関するお話の絵本の読み聞かせをしました。また、音楽の時間や朝の会では、植物に関する歌を歌いました。

このようにすることで、「2年生の生活科でやりたいこと」の話し合いでは、子どもたちから、「何か育てたい!」という意見が出てきました。そこから、調べたり話し合ったりして、自分の植木鉢では、それぞれ自分が育てたい野菜を育てることに決まりました。

●小単元1「そだてるものをきめよう」

そして、みんなで苗を買いに行くことになりました。「お店の人から何をどれくらい買いたいのか事前に教えて欲しいと言われているのだけれど。」と子どもたちに伝えると、「算数の表とグラフを使えばいい!」という意見が出て、算数で自分たちのクラスの「育てたい野菜調べ」をしました。

●小単元2「大切にそだてよう」

野菜の苗を買って帰ってくると、「自分たちが野菜のお父さんお母さんになって育てるのだから、成長記録をかきたい!」という意見が出て、かくことになりました。

記録をかいていると、筆箱の中から定規を取り出し、高さや葉の大きさを測ろうとする子がいました。そこで、算数「長さの単位」でcmとものさしの目盛の読み方を学習しました。「自分の野菜の高さを測りたい!」という思いから意欲的に取り組んでいました。その後も観察をする際に、前回と比べるために高さなどを測る子がいました。

また、成長してくると、高さを測る時、定規1本では足りなくなりました。すると、友達の定規と合わせて測り、算数で学習した筆算を使って計算していました。その子は、「筆算ができるようになっていて良かった!」と言っていました。

●小単元3「おいしくなあれ」

野菜がぐんぐん育ち、暑くなってくると、水やりの際に必要な水の量も変わってきます。育て始めた頃は、500mLのペットボトル1本分くらいでしたが、それでは足りなくなってきます。そこで、必要な水の量を考える必要性をきっかけとして、算数の「水のかさのたんい」の学習が始まりました。

その他にも、国語の「ていねいにかんさつしてきろくしよう」や、道徳の「自然愛護」についても、効果的なタイミングで学習できるようにしました。

●学校行事でも

さらに、秋の運動会では「大事な野菜を運び出せ!」という種目名で、野菜の蔕(へた)をつけた大玉運びを行いました。BGMは、音楽の時間に歌った歌の替え歌です。「畑に大きなトマトができた!どれくらい?一人じゃ運べない。二人じゃ運べない。三人、四人、五人、六人、みんなで運びましょう。」

他教科で学習したことを生活科の学習で生かしたり、生活科の学習をきっかけとして他教科の学習に取り組むことで、子どもたちが意欲的に活動したり、実感を伴った理解へとつながったりしました。


つづく

プロフィール

さとえ学園小学校 やまなかせんせい プロフィール画像

東京都大田区立久原小学校

主任教諭 小笠原さちえ 


なぜ、小学校の先生に?

小学校の卒業文集に「幼稚園の先生になりたい」と書いた気がします。幼稚園教諭として10年間勤務した後、「幅広く子どもたちと関わることができる人になりたい!」と思い、現在の道に至りました。

my belief

「笑う門には福来る」

「笑顔がいっぱいの教室にも福がたくさん訪れる!」と信じています。