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じっくりと観察することで、3年理科へとつながる知識が明らかに

兵庫県たつの市立新宮小学校 主幹教諭 石堂裕

秋、いこいの広場(校舎西側にある広場)に行くと、初夏と比べて、大きく育った昆虫たちと出会うことができます。そこで、昆虫の育ちを観察する時間をもちました。

観察の約束づくりの際、「しっかりと観察するためには、どうすればいいかな。」と問いかけると、2年生の子どもたちは、

「飼育ボックスを使って観察したい。」

「観察した後は、つかまえた場所に逃がします。」

といった返答でした。この返答から、初夏の生き物探しでの体験が生きていることがわかります。

【写真1】飼育ボックス内の昆虫をじっくりと観察
【写真1】飼育ボックス内の昆虫をじっくりと観察

さて、話し合いの後は、見つけたお気に入りの昆虫を観察し、ワークシートに整理する時間です。

【写真1】のように、飼育ボックスに昆虫を入れているため、子どもたちは、昆虫の体のつくりについて、じっくりと観察することができました。


【写真2】気付きに溢れるワークシート(部分)
【写真2】気付きに溢れるワークシート(部分)

注目したのは、Aさんのワークシートです。

【写真2】に示すように、Aさんは、バッタとコオロギとを比べることにしました。その結果、Aさんは、次のようなことに気付きます。

【絵から読み取れる気付き】

  • 二つの昆虫とも、頭・胸・腹に分かれていること。

【言葉から読み取れる気付き】

  • 「どっちも足が6本ある」
  • 「むねから足が出てくるのが同じ」
  • 「足にとげがある」

このAさんの気付きは、3年理科の昆虫の学習で習得する知識と共通していることがわかります。

観察後の伝え合って交流する活動では、みんなが「気付き」を書き出したワークシートをもとに説明しました。

Aさんのグループでは、Aさんの発表を受けて、グループのみんながあらためてバッタとコオロギを観察したところ、

「あっ、Aさんの言う通りだ。」

との声。納得した子の中には、自分のワークシートに加筆する子もいました。

昆虫をじっくりと観察することで、3年理科につながる知識を主体的に獲得し、さらに伝え合って交流する活動によって、知識の定着及び他者との共有を図ることができると実感できました。

つづく

プロフィール

さとえ学園小学校 やまなかせんせい プロフィール画像

兵庫県たつの市立新宮小学校

主幹教諭 石堂裕


なぜ、小学校の先生に?

身近な家族が教員だったため、小学生のころから「先生になる」と決めていました。小学校に決めたのは、教育実習での1年生との出会いです。授業の難しさを実感して、「もっと究めたい」と思ったことが、今も私自身を支えています。

my belief

「ピンチがチャンス!」

授業では、「ま(待つ)つ(つなげる)の(のせる)き(気付かせる)みと(認める)」