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体験から発する具体的な言葉が説得力に

兵庫県たつの市立新宮小学校 主幹教諭 石堂裕

前回の飼育小屋復活大作戦を経て、見事復活を遂げた飼育小屋に1か月間だけ、たつの市立動物園から2羽のウサギがやってくることになりました。

今回は、その続編です。

ウサギの飼育を始めた日の生活科の時間は、みんなで名前を決めたり、飼育するための約束ごとを確認したりしました。

1.ウサギの名前決め

まずは名前を決めることにしました。

4人から5人の小グループで意見を出し合って名前の候補を短冊に書き出し、その短冊をもとにランキングシートを作成して2羽のウサギの名前を決定しました。

ランキングシートのポイントは、付けたい名前だけでなく、その名前の由来も書き入れるようにしておくことです。

みんなのランキングで選ばれたのは「ココミ」「ミライ」でした。

決め手は、Aさんがみんなに伝えた名前の由来です。

名前と由来をもとにランキングで決定
名前と由来をもとにランキングで決定
ココミの由来
飼育を通して、みんなの心が美しくなるため
ミライの由来
飼育で学んだことが、みんなの未来につながるため
熱心にインタビューするAさん
熱心にインタビューするAさん

実はAさんは、9月に行った動物園で最後まで飼育員さんにインタビューをしていました。

どうやら「飼育を通して、みんなの心が美しくなるため」や「飼育で学んだことが、みんなの未来につながるため」といった発言には、動物園で取材した飼育員さんから学んだことが含まれていたようです。

2.飼育の約束づくり

次に飼育するための約束ごとを決めました。ここで用意したのは、朝の飼育小屋を撮影した1枚のスライドです。

朝の飼育小屋を撮影したスライド
朝の飼育小屋を撮影したスライド

スライドを見るなり、「あっ、これ今日の朝の様子だ」、「いっぱいで見ることができなかった」などのつぶやきが聞こえてきます。飼育小屋に来ていなかった子からも、「みんながいっぱいで押しつぶされそう」といった声も聞こえました。

ここで、みんなに問うたのは、「ココミとミライはどう思っているかな」ということでした。すると、

「ぜったい喜んでいないと思う」

「そういえばトンネルの中にかくれたり、隅の方にいたりしていた」

「なんだか震えているようにも見えた」

と発言が続きました。子どもたちが、自分目線で考えていた飼育を動物目線で考え始めた証拠です。

そうなるとみんなの約束ごとの基準が「ココミとミライが喜ぶこと」になり、

  • 飼育小屋に入る人数
  • えさのやり方
  • 愛情いっぱいの声かけ

などが順に決まっていきました。

翌日の飼育小屋。安心した様子のミライ
翌日の飼育小屋。安心した様子のミライ

上の写真は、次の日からの飼育の様子です。

中に入る人数が決まったため、外で見学する子がいます。同時にココミとミライも安心しているのが伝わってきます

今回の記事は、体験から発する具体的な言葉が説得力になり、名前の決定や飼育の約束づくりに反映されたことを紹介しました。

次回は、1か月の飼育体験で、子どもたちの気付きの質が高まっていく様子を紹介したいと思います。

つづく

プロフィール

さとえ学園小学校 やまなかせんせい プロフィール画像

兵庫県たつの市立新宮小学校

主幹教諭 石堂裕


なぜ、小学校の先生に?

身近な家族が教員だったため、小学生のころから「先生になる」と決めていました。小学校に決めたのは、教育実習での1年生との出会いです。授業の難しさを実感して、「もっと究めたい」と思ったことが、今も私自身を支えています。

my belief

「ピンチがチャンス!」

授業では、「ま(待つ)つ(つなげる)の(のせる)き(気付かせる)みと(認める)」