東京都港区立芝浦小学校 主任教諭 八木 美香
今回の記事は、生活科ではありません。
我が学級の“振り返りボトル”の関連で考案した、“名前磁石わけわけボックス”を紹介します。
3cm×5cmに切り分けたマグネットシートに子ども一人ひとりの名前が書いてある“名前磁石”。
話し合いを板書したときに、誰の考えかを示すために使うことが主な使用法ですが、他にも活用法があります。
例えば、『つくってあそぼう』での活動で作業が進み、「友だちと遊べるくらいにできてきたよ」と作業状況を示すとき。マグネットシートの両面(白と黄色)に名前が書いてあるので、「黒板に黄色で貼ってあるから、みんなに紹介できるよ!となったら白色にひっくり返しましょう」と呼びかけると意思表示に使えます。
また、硬い厚紙を切りたい、千枚通しで穴を開けたい、など少し危険な作業を教師とともに活動したいときには、「先生と一緒コーナー」の予約枠に名前磁石を貼っておけば、長蛇の列で待つことがなくなります。
この便利な“名前磁石”を新たなアイテムと組み合わせて算数でも活用しました。
現在、算数ではかけ算の練習の真っ最中。一斉に同じ練習方法で行うこともありますが、自分に合った練習方法で行えるように学習の場をつくった方がよいときもあります。
そこで、“名前磁石わけわけボックス”の登場です。
“名前磁石わけわけボックス”は、給食の牛乳パックを四つつなげてつくってあります。
「次の算数の時間は、最初の10分間で九九の2、3、4の段の練習をしよう」というときには、
- カードを見ながら順番にスラスラ言えるように練習したい(三一が3、三二が6…)
- スピードアップして言えるようになりたい
- 逆からスラスラ言えるようになりたい(三九27、三八24…)
- 順番バラバラでも言えるようになりたい
と、番号を振った四つのコースを前時の終了時に示し、子どもたちに自分の名前磁石を入れてもらいます。
担任は、箱に入れられた名前磁石で子どもが選んだコースを把握できるので、コース別に二人組や三人組をつくっておきます。そして、次の授業時には同じ練習方法を選んだ友だちと一緒に練習できるようにしました。
担任の関わりが必要なところには、担任がピンポイントで直接指導に行くこともできます。
他にも、音読劇に取り組むときのチーム決めにも使いました。
- ナレーターになりたい
- かえるくんになりたい
- がまくんになりたい
- どの役でもうまくできる
の4コースを示して、子ども一人ひとりに意思表示をしてもらったのです。
子どものやる気を引き出しながら、グループづくりができ、今まで以上に熱心に取り組む姿が見られました。
今回紹介した“名前磁石わけわけボックス”と前回の“振り返りボトル”は、最近では両方とも、子どもが自ら、自分たちの活動に活用し始めています。
- 子どもが考えた活用例1.クイズ係が「クイズを言える人」を募集!
- 名前磁石わけわけボックスに「すぐ言える」「来週言える」のコースを示して、名前磁石を入れるように呼びかけていました。
- 子どもが考えた活用例2.読み聞かせ係が本の投票に活用!
- 「次に読んでもらいたい本」を4冊挙げて振り返りボトルに投票してもらい、投票が多かった本を読んでいました。
子どもが自分の運営する活動に使いたくなるようなアイテムとなったのが、とてもうれしいかぎりです。
つづく
東京都港区立芝浦小学校
主任教諭 八木 美香
なぜ、小学校の先生に?
元々はピアノの勉強をしていました。子どもたちと歌ったり、踊ったりすることが大好き。体を動かすことが大好き。お出かけすることが大好き。工作することも大好き。子ども一人ひとりの「楽しい♪」の表情が何より大好き。
my belief
「楽しい♪」の中に学びあり。