東京都大田区立久原小学校
主任教諭 小笠原さちえ
前回は、2年生の内容(6)自然や物を使った遊び 単元の「身近にあるものと十分にふれあって遊ぶ活動」での、子どもたちの学びを深めるための気付きを共有する場の工夫をお伝えしました。
引き続き今回は、身近にあるものとふれあって遊ぶ中で発見したことを生かして、遊びや遊びに使うものをつくり出す活動での気付きを共有する場の工夫についてお伝えします。
第1次では、ペットボトル、紙コップ、空き箱、紙皿、カップなど子どもたちの身近にあるものを使って遊ぶ活動を行いました(第1次後半には、磁石、輪ゴム、うちわなども使い、さらに遊びが広がりました)。
一つの素材から、様々な遊びができ、ウェビングを通してできることが広がったことを実感しました。
そして、そこでの気付きを生かして、子どもたちは、徐々に遊びに使うものをつくる活動へと移行していきました。
いろいろなものを水に浮かべて遊んでいた子たちは、浮かぶものを組み合わせて船をつくり、うちわであおいで競争を始めました。
磁石に興味をもった子たちは、空き容器を組み合わせた車を磁石で動かす車をつくっていました。
遊びに使うものをつくりながらも、一つの素材で新たにできることを発見して、前次に作成したウェビングに書き足す子もいました。
今回、気付きを共有する場面では、つくったり遊んだりしている中での発見をふせんに書き出し、
- 「できた」(こうしたらうまくいったよ)
- 「こまった」(どうすればいいのか考え中)
- 「せいこうのもと」(こうするとうまくいかない)
の三つの視点に分類する方法を用いました。
ここでのポイントは、「こうしたらうまくいったよ」という発見だけではなく、「こうしたらうまくいかなかった」「ここを今考えているんだよ」という内容も、「こうするとこうなる」という重要な発見であり,成功のための大切なきっかけだということを事前に学級全体で共有しておくことです。
そうすることで、子どもたちは、活動の中でたくさんのことに気付き、表現することができるようになります。
さらに、友だちの書いたふせんを見て、「なるほど!」「いいね!」と思ったら、金色の星形シールに自分の名前を書いて貼ります。自分の考えをアウトプットするだけではなく、友だちのふせんもよく読んで、考えにもふれることができました。
また、書いてある内容をもとにふせんを書いた子との交流が生まれたり、次の時間のおさんぽタイム(友だちがつくったものを見て回る時間)で一緒に遊びに行ったりすることへとつながります。
授業の後半には、前次と同様におさんぽタイムを設定し、友だちが考えた遊びや、遊びに使うつくったものも見て回りました。
子どもたちはそこから自分の遊びと比べたり、新たな視点をもつことができたりしました。また、自分の考えた遊びを友だちに伝えることで、自分の考えをもう一度整理し、認識を深めることや次の活動の意欲をもつことができました。
友だちが自分の考えた遊びを楽しんでくれることで、自信につながった子もいたようです。
授業の終わりには、前次と同じように、個人での振り返り(振り返りカードを使用)の後に学級全体で気付きを共有します。ここでの共有は、次の活動でやりたいことを考えることが目的なので、すべての気付きを共有するのではなく、視点を広げることができるような気付きを選んで共有していきます。
一つの素材からできることが広がり、考えた遊びをする中で、発見を共有しました。
子どもたちは、自分の考えを表現(今回はふせんに書いて三つの視点で分類)することで、活動を振り返って再び考え、認識を深めたり、友だちの考えにふれることで視点が広がって、次の活動でやりたいことを見つけることにつながったりしました。
今回は、「遊びや遊びに使うものをつくり出す段階での気付きの共有場面の工夫」についてお伝えしました。
次回は、単元の終末での「自分の成長に気付き、自分自身の生活を楽しく豊かにしていくための工夫」についてお伝えしたいと思います。
つづく
プロフィール
東京都大田区立久原小学校
主任教諭 小笠原さちえ
なぜ、小学校の先生に?
小学校の卒業文集に「幼稚園の先生になりたい」と書いたと思います。幼稚園教諭として10年間勤務した後、「幅広く子どもたちと関わることができる人になりたい!」と思い、現在の道に至りました。
my belief
「笑う門には福来る」
「笑顔がいっぱいの教室にも福がたくさん訪れる!」と信じています。