なぜ生活科の学習をするのか[1]

東京都大田区立久原小学校

指導教諭 小笠原さちえ

生活科の学習はなぜするのでしょうか。

それは、教科の目標を見ると分かります。『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 生活編』(以下、解説)には次のように記されています。

 具体的な活動や体験を通して,身近な生活に関わる見方・考え方を生かし,自立し生活を豊かにしていくための資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

(1) 活動や体験の過程において,自分自身,身近な人々,社会及び自然の特徴やよさ,それらの関わり等に気付くとともに,生活上必要な習慣や技能を身に付けるようにする。

 身近な人々,社会及び自然を自分との関わりで捉え,自分自身や自分の生活について考え,表現することができるようにする。

 身近な人々,社会及び自然に自ら働きかけ,意欲や自信をもって学んだり生活を豊かにしたりしようとする態度を養う。

教師が、目標に記されていることを捉えることが大切です。私は「自分で自分自身の生活を楽しく豊かなものにしていくことができる力を育てる」ためと考えています。そして、その背景として解説には以下3点が挙げられています。

○ 児童の生活圏としての学校,家庭,地域を学習の対象や場とし,そこでの児童の生活から学習を出発させ,学習したことが,学校,家庭,地域での児童の生活に生きていくようにする。

○ 児童が身近な人々,社会及び自然と直接関わる活動や体験を重視し,児童が自分の思いや願いを生かし,主体的に活動することができるようにするとともに,そうした活動の楽しさや満足感,成就感を実感できるようにする。

○ 児童が身近な人々,社会及び自然と直接関わる中で,それらについて気付くことができるようにするとともに,そこに映し出される自分自身や自分の生活について気付くことができるようにする。

はじめに「児童の生活圏としての学校、家庭、地域を学習の対象や場とし、」とあります。生活圏ですので実際に活動する場所(訪問なども含めて児童の生活圏内)が望ましいでしょう。なぜかというと、生活科の学習は自分で自分自身の生活を楽しく豊かにするために行うので、身近な生活の方が、生活の仕方や考え方を自分で変えていくことができるからです。

「今までよりも子どもたちの生活や考えなどを広げる」というねらいがあるのであれば、それまで子どもたちの生活しているところの少し先にあたるところを学習材とすることもよいと思います。いずれにしても生活とかけ離れていないことが大切です。

単元の最中や単元終了後に、どのように生活していく、または生活しようとする子になっていてほしいのかを一番に考えて学習材を決めます。

生活科の学習材は児童の生活とかけ離れていないことが大切
生活科の学習材は児童の生活とかけ離れていないことが大切

次に、内容ごとに、単元に取り組むことによってどのような子を育てていきたいかについて考えます。

子どもたちや地域の実態を踏まえて教師が自分の言葉と子どもの姿で考えて、目指す姿として常に念頭に入れておくことが大切だと思います。そうすれば、子どもたちの姿の中で評価すべきところや足りない部分について、目指す姿に向けて支援をしていくことができます。それぞれの内容ごとに私は、次のように考えています。「具体的な姿」は、目指す姿の一部です。いずれも対象が自分や自分たちにとってどのような存在なのかに気付くことができるようにしていきます。

内容(1)学校と生活

●ねらい

自分の学校を思いや願いをもちながら、探検したり考えたりする活動を繰り返し、素敵だなと思うものや人をたくさん見付け、それらは自分たちの生活を支えているということに気付いたり、適切に利用したりし、これからの学校生活に意欲と自信をもつことができるようにする。

●具体的な姿

・学校って素敵なものがたくさんあって、楽しいところだね。

・学校ってどんなところか心配だったけれど、助けてくれる人がたくさんいるから安心だよ。

・これからもいろいろな教室で学習したいな。

内容(2)家庭と生活

●ねらい

自分の家族や家庭での生活について思いや願いをもって考える活動を通して、自分にもできることができることに気付き、取り組み、家族の一員として、これからの家庭での生活をよりよくしていこうという思いをもつことができるようにする。

●具体的な姿

・今までは自分は家の人に助けてもらうことばかりだったけれども、これからは、自分も家族がみんなにこにこでいられるように、できることを毎日するよ。

内容(3)地域と生活

●ねらい

自分の身近な社会である町やそこで生活したり働いたりしている人と思いや願いをもって関わる活動を通して、そのよさに気付き、自分や自分たちの生活を支えているということに気付き、これからも町の人やこと、ものなどと関わりながら生活していこうという意欲をもつことができるようにする。

●具体的な姿

・〇〇さんは、町のみんなに素敵を届けてくれているんだね。また行きたいな。

・わたしたちのまわりにはすてきなところがたくさんあって、すてきな人がたくさんいるんだね。

・今度は、家の人と行ってみよう。家の人にも教えてあげよう。

内容(4)公共物・公共施設の利用

●ねらい

身近な公共物や公共施設で生活したり働いたりしている人と思いや願いをもって繰り返し関わる活動を通して、よさを見付け、自分や自分たちの生活を支えているということに気付き、適切な利用の仕方を身に付け、これからも利用したり、関わったりしながら生活していこうという意欲をもつことができるようにする。

●具体的な姿

・近くにはみんなで使うところやものがあるんだね。素敵なところだからこれからは自分も大事にしていくよ。

・今度は、友だちと一緒に行ってみよう。きちんと挨拶もできるよ。

今回は、内容(1)~(4)についてお伝えしました。実際はもっと具体的に考えますが、ここでは大まかな考えを記しました。

様々な単元を通して、子どもたちは、それぞれの自分たちの生活の中にある学習対象に思いや願いをもち、自分で考えながら働きかけることを繰り返すことで、それらのよさや楽しさなどに気付くことができました。そして、興味・関心を広げたり、これからも関わっていきたい・大切にしていきたいという思いをもったりすることができたようです。自分の生活に生かし、楽しく豊かなものにすることにつながってきています。

単元を通して学んだことを自分の生活に生かし、生活を楽しく豊かにしていく力を育む
単元を通して学んだことを自分の生活に生かし、生活を楽しく豊かにしていく力を育む

子どもたちがそれぞれの単元を学習するごとに、自分の生活を楽しく豊かにしていくことができるようにこれからも支援をしていきたいと思います。

次回は、内容(5)〜(9)についてお伝えします。

つづく

プロフィール

さとえ学園小学校 やまなかせんせい プロフィール画像

東京都大田区立久原小学校

指導教諭 小笠原さちえ


なぜ、小学校の先生に?

小学校の卒業文集に「幼稚園の先生になりたい」と書いたと思います。幼稚園教諭として10年間勤務した後、「幅広く子どもたちと関わることができる人になりたい!」と思い、現在の道に至りました。

my belief

「笑う門には福来る」

「笑顔がいっぱいの教室にも福がたくさん訪れる!」と信じています。