なぜ生活科の学習をするのか[2]

東京都大田区立久原小学校

指導教諭 小笠原さちえ

今回は、前回に引き続き内容(5)~(9)についてお伝えしたいと思います。

生活科の単元づくりは、学習指導要領を正しく捉え、具体的な目標を立てることから始めます。その際、地域のよさなど実態を生かしたり、場合によっては新型コロナウイルス感染症の対策をしたりしながら、どのようにすれば目標を達成することができるか、活動よりも目標を先に考えるとよいでしょう。

まずは前回と同様に教科の目標を確認したいと思います。『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 生活編』(以下、解説)には次のように記されています。

 具体的な活動や体験を通して,身近な生活に関わる見方・考え方を生かし,自立し生活を豊かにしていくための資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

(1) 活動や体験の過程において,自分自身,身近な人々,社会及び自然の特徴やよさ,それらの関わり等に気付くとともに,生活上必要な習慣や技能を身に付けるようにする。

 身近な人々,社会及び自然を自分との関わりで捉え,自分自身や自分の生活について考え,表現することができるようにする。

 身近な人々,社会及び自然に自ら働きかけ,意欲や自信をもって学んだり生活を豊かにしたりしようとする態度を養う。

教師が、目標に記されていることを捉えることが大切です。「自分自身の生活を楽しく豊かなものにしていく力を育てる」ためと私は考えています。単元の途中や単元終了後に、どのように生活していく、または生活しようとする子になっていてほしいのかを一番に考えて取り組んでいきます。

次に、内容ごとに単元に取り組むことによってどのような子を育てていきたいかについて考えます。学習対象と学習材を身近な生活の中から選びます。

それぞれの内容ごとに私は、次のように考えています。実際はもっと具体的に考えますが、ここでは、大まかに考えたところですので参考になればと思います。

子どもたちや地域の実態を踏まえて教師が自分の言葉と子どもの姿で考えて、目指す姿として常に念頭に入れておくことが大切だと思います。そうすれば、子どもたちの姿の中で評価するところや足りない部分について、目指す姿に向けて支援をしていくことができます。具体的な姿は、目指す姿の一部です。

内容(5)季節の変化と生活

●ねらい

自分の学校の敷地内や地域の公園などで自然とふれあったり選んだりする活動を通して、それぞれの季節の特徴を見つけ、自然の様子や季節の変化や違い、季節の変化に伴い生活が変わることなどに気付き、それらを自分の生活の中に取り入れ、自分の生活を楽しく豊かにしようとしたりする。

●具体的な姿

・春は、お花がたくさん咲いていて、きれいな季節だね。

・秋は、木の実や落ち葉などいろいろなもので遊べる楽しい季節だね。

・来年の冬にまた探してみよう。楽しみだな。

・次の季節にはどんなものが見つけられるかな。

・季節が変わると花や草木だけではなく、着るものや食べるものも変わるんだね。

内容(6)自然やものを使った遊び

●ねらい

自分の身の回りにある自然やものを使って遊ぶ活動を通して、遊びや遊びに使うものを工夫してつくり出し、遊ぶ中で面白さや不思議さに気付き、みんなと楽しみながら遊びをつくり出し、自分の生活に生かそうとすることができるようにする。

●具体的な姿

・空き箱とか今までは、いらないものだと思ったけれどもこんなに楽しく遊べる宝物になるんだね。これからは、ものを大事にしよう。

・風が吹いている日は、風を使って遊べるね。

・みんないろいろ工夫していてすごいと思った。みんなで遊ぶと楽しいね。

・外で遊べないときには、またつくって遊ぼう。

内容(7)動植物の飼育栽培

●ねらい

動物や植物を育てたりする活動を通して、それらがどのように育ち、どのように変化するのか、関心をもって、自分で考えながら必要な世話をするなど働きかけることができ、動物も植物も自分たちと同じように生命をもち、成長していることに気付くとともに、親しみをもって大切にしようとすることができるようにする。

●具体的な姿

・アサガオは自分と似ていたから、気持ちがわかったよ。

・アサガオが大きくなって、自分も大きくなったよ。

・種から育てたら、最後に種が採れたよ。命がつながっていくんだね。

・葉っぱの元気がない時は肥料をあげるといいよ。ほかの花にもそうしよう。

・ダンゴムシのお家はダンゴムシがいたところに似ているようにつくればいいんだね。

・ダンゴムシやバッタなど自分たちの周りにはたくさんの仲間がいるんだね。

植物に親しみをもって大切にしようとすることができるようにする
植物に親しみをもって大切にしようとすることができるようにする
植物に親しみをもって大切にしようとすることができるようにする
身近な自然に自ら働きかけ、自分との関わりで捉えることができるようにする

内容(8)生活や出来事の交流

●ねらい

自分たちの生活の楽しかったことなど出来事を、友だちや来年小学生になる子、保護者や地域の人など身近な人々に伝え合う活動を通して、伝えたいことや伝え方を選んだりすることができ、わかりやすく伝える方法を考え、身近な人々と関わるよさや楽しさに気付くとともに、進んでふれあい交流しようとすることができるようにする。

●具体的な姿

・来年の小学1年生に、小学校の楽しいことを伝えられたよ。ありがとうと言ってもらえてうれしかった。

・入学したばかりのときに給食を手伝ってもらった地域の人に、できるようになったことを伝えたらよろこんでもらえた。

・学校で発見したことを、家の人たちに聞いてもらえたよ。わかりやすく伝えられたね。

内容(9)自分の成長

●ねらい

自分自身のこれまでの生活や成長を振り返る活動を通して、自分自身の自分を支えてくれた人々について考えることができ、大きくなったことや自分でできるようになったこと、役割が増えたことなどに気付き、これまでの生活や成長を支えてくれた人々に感謝の気持ちをもち、これからの成長を楽しみにしながら生活していこうという意欲をもつことができるようにする。

●具体的な姿

・自分にはいいところがたくさんあるんだと思った。これからもがんばろう。

・1年間でできるようになったことがたくさんあるんだなあと思った。

・2年生になるのが楽しみになったよ。これからも続いていくんだね。がんばるよ。

今回は、内容(5)~(9)についてお伝えしました。

どの内容、どの単元においても、それぞれの自分たちの生活の中にある学習対象に思いや願いをもち、自分で考えながら働きかけることを繰り返すことで、それらのよさや楽しさなどに気付くことができました。そして、興味・関心を広げたり、これからも関わっていきたいという思いや大切にしていきたいという思いをもったりすることができたようです。

自分の生活に生かし、楽しく豊かにすることにつながってきています。子どもたちがそれぞれの単元を学習するごとに、自分の生活を楽しく豊かにしていくことができるようになるためにこれからも支援をしていきたいと思います。

自分自身の生活を楽しく豊かなものにしていく力を育てる
自分自身の生活を楽しく豊かなものにしていく力を育てる

つづく

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プロフィール

さとえ学園小学校 やまなかせんせい プロフィール画像

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指導教諭 小笠原さちえ


なぜ、小学校の先生に?

小学校の卒業文集に「幼稚園の先生になりたい」と書いたと思います。幼稚園教諭として10年間勤務した後、「幅広く子どもたちと関わることができる人になりたい!」と思い、現在の道に至りました。

my belief

「笑う門には福来る」

「笑顔がいっぱいの教室にも福がたくさん訪れる!」と信じています。